「#3781. 講座「英語の歴史と語源」の第3回「ローマ帝国の植民地」のご案内」 ([2019-09-03-1]) で紹介したとおり,9月7日(土)15:15?18:30に朝日カルチャーセンター新宿教室にて「英語の歴史と語源・3 ローマ帝国の植民地」と題する講演を行ないました.過去2回と同様,大勢の方々に参加いただきまして,ありがとうございました.核心を突いた質問も多数飛び出し,私自身もおおいに勉強になりました. *
今回は,(1) ローマン・ブリテンの時代背景を紹介した後,(2) 同時代にはまだ大陸にあった英語とラテン語の「馴れ初め」及びその後の「腐れ縁」について概説し,(3) 最初期のラテン借用語が意外にも日常的な性格を示す点に注目しました.
特に3点目については,従来あまり英語史で注目されてこなかったように思われますので,具体例を挙げながら力説しました.ラテン借用語といえば,語彙の3層構造のトップに君臨する語彙として,お高く,お堅く,近寄りがたいイメージをもってとらえられることが多いのですが,こと最初期に借用されたものには現代でも常用される普通の語が少なくありません.ラテン語に関するステレオタイプが打ち砕かれることと思います.
講座で用いたスライド資料をこちらに置いておきます.本ブログの関連記事へのリンク集にもなっていますので,復習などにお役立てください.
次回の第4回は10月12日(土)15:15?18:30に「英語の歴史と語源・4 ゲルマン民族の大移動」と題して,いよいよ「英語の始まり」についてお話しする予定です.
1. 英語の歴史と語源・3 「ローマ帝国の植民地」
2. 第3回 ローマ帝国の植民地
3. 目次
4. 1. ローマン・ブリテンの時代
5. ローマン・ブリテンの地図
6. ローマン・ブリテンの言語状況 (1) --- 複雑なマルチリンガル社会
7. ローマン・ブリテンの言語状況 (2) --- ガリアとの比較
8. ローマ軍の残した -chester, -caster, -cester の地名
9. 多くのラテン地名が後にアングロ・サクソン人によって捨てられた理由
10. 2. ラテン語との「腐れ縁」とその「馴れ初め」
11. ラテン語との「腐れ縁」の概観
12. 現代英語におけるラテン語の位置づけ
13. 3. 最初期のラテン借用語の意外な日常性
14. 行為者接尾辞 -er と -ster も最初期のラテン借用要素?
15. 古英語語彙におけるラテン借用語比率
16. 借用の経路 --- ラテン語,ケルト語,古英語の関係
17. cheap の由来
18. pound (?) の由来
19. Saturday とその他の曜日名の由来
20. まとめ
21. 参考文献
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