hellog〜英語史ブログ

#585. 「背広」の語源[etymology][japanese]

2010-12-03

 日本語の「背広」は明治時代から用いられているが,その語源は不詳とされている.従来,様々な説が提案されてきた.

 (1) 「背幅の広い服」から
 (2) sack coat の訳語でゆったりした上衣
 (3) 「市民服」を表わす civil clothescivil から(従来もっとも有力とされてきた説)
 (4) ロンドンにある高級紳士服の仕立屋の多い街路 Savile Row から
 (5) スコットランドの羊毛・服地の産地 Cheviot から
 (6) 英語の中国語訳に vest 「背心」,new waistcoat 「新背心」などと「背」が使用されることにならって

 (4) の Savile Row 説もその真偽のほどは分からないが,確かにこの通りには18世紀から続く老舗が多く,そこでスーツを仕立てることが紳士のステータスとされる.一生のうち1着だけでも仕立ててみたいなあ,本物のセヴィロゥを(夢).

Savile Row

 ・ 前田 富祺 監修 『日本語源大辞典』 小学館,2005年.

Referrer (Inside): [2016-03-23-1]

[ | 固定リンク | 印刷用ページ ]

Powered by WinChalow1.0rc4 based on chalow