標記について,宇賀治 (274) により,Tajima (1985) を参照して整理した6種の構造が現代英語化した綴字とともに一覧されている.
I 属格目的語+動名詞,例: at the king's crowning (王に王冠を頂かせるとき)
II 目的語+動名詞,例: other penance doing (ほかの告解をすること)
III 動名詞+of+名詞,例: choosing of war (戦いを選択すること)
IV 決定詞+動名詞+of+名詞,例: the burying of his bold knights (彼の勇敢な騎士を埋葬すること)
V 動名詞+目的語,例: saving their lives (彼らの命を助けること)
VI 決定詞+動名詞+目的語,例: the withholding you from it (お前たちをそこから遠ざけること)
目的語が動名詞に対して前置されることもあれば後置されることもあった点,後者の場合には前置詞 of を伴う構造もあった点が興味深い.また,動名詞の主語が属格(後の所有格)をとる場合と通格(後の目的格)をとる場合の両方が混在していたのも注目すべきである.さらに,動名詞句全体が定冠詞 the を取り得たかどうかという問題も,統語論史上の重要なポイントである.
・ Tajima, Matsuji. The Syntactic Development of the Gerund in Middle English. Tokyo: Nan'un-Do, 1985.
・ 宇賀治 正朋 『英語史』 開拓社,2000年.
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