アイルランド英語史について,「#1715. Ireland における英語の歴史」 ([2014-01-06-1]),「#762. エリザベス女王の歴史的なアイルランド訪問」 ([2011-05-29-1]) の記事を通じて略述してきた.背景にあるアイルランドの外面史も整理しておこうと思い,アンナ・マックィン,コルム・マックィン (60--61) を中心に,波多野も参照しつつ,略年表を用意した.アイルランドの地図も参考までに.
紀元前7000ごろ | スコットランドから最初の人々が陸地をつたわってアイルランドに来て住む. |
紀元前3200ごろ | ボイン川流域に羨道墳がつくられる. |
紀元前2000ごろ | アイルランドで金属細工がはじまる. |
紀元前700ごろ | ケルト人がアイルランドにやってくる. |
432ごろ | 聖パトリックがアイルランドに来て,この国の大半をキリスト教に改宗させる. |
795 | 最初のバイキングがダブリン近くの島ランベイに上陸し,入植地を作る. |
800ごろ | おそらくアイオナ島のアイルランド人の修道院で,きわめて緻密な装飾をほどこしたアイルランドの代表的写本『ケルズの書』がつくられる. |
1014 | アイルランドの王ブライアン・ボルーがアイルランド全土を統一し,クロンターフの戦いでバイキングを破る.しかし戦いの直後,王は死亡. |
1170 | 「ストロングボウ」ことペンブローク泊がアイルランドに侵攻し,ノルマン人のアイルランド侵略が始まる.1年後,ストロングボウがレンスターの王になる. |
1171 | イングランド国王ヘンリー2世がアイルランドの大部分を支配下におさめる. |
1366 | アイルランドに入植したノルマン人の勢力をおさえるため,イングランドが「キルケニー法」を制定する. |
1494 | イングランド国王ヘンリー7世がアイルランド議会をイングランド枢密院の支配下におき,アイルランド支配を強める. |
1601 | イングランド女王エリザベス1世がアイルランドに軍を送り,ティロン伯ヒュー・オニールおよび同盟軍をキンセールの戦いで破る. |
1603 | イングランドがアイルランド全土を征服. |
1641 | カトリックのアイルランド人が,プロテスタントのイングランド人入植者に奪われた土地を取りもどすために立ち上がり,数百人のプロテスタントを殺害. |
1649 | イングランドの護国卿オリバー・クロムウェル率いる軍がアイルランドのドローエダとウェクスフォードで数千人を虐殺.カトリックのアイルランド人の土地をプロテスタントの入植者にあたえる. |
1690 | オレンジ公ウィリアムがボイン川の戦いでジェイムズ2世の軍を破り,北部アイルランドのプロテスタント居住地を守る. |
1782 | アイルランド議会が独自の法律を制定する権利を得る. |
1798 | アイルランドの独立を求め,統一アイルランド人協会などの勢力が反乱をおこすが,失敗に終わり,数万人が死亡. |
1801 | 連合法により,グレートブリテンおよびアイルランド連合王国が成立. |
1845 | ジャガイモに疫病が発生し,4年におよぶ飢饉となる.膨大な数のアイルランド人が移民となってアメリカなどに渡る. |
1870 | ウィリアム・グラッドストーン首相がアイルランド人の小作農の法的権利を強め,最終的には土地所有を認める新しい法を成立させる. |
1913 | アイルランド自治法案がイギリス上院で3度目の否決にあう. |
1914 | 第1次世界大戦の勃発により,アイルランド議会の復活と,アイルランドの権利拡大に関する法の制定が遅れる. |
1916 | イースター蜂起でアイルランドの民族主義勢力が主要な建物を占拠し,アイルランド共和国の独立を宣言.しかし氾濫はイギリス軍によって鎮圧される. |
1916 | ジェイムズ・ジョイスが『若き芸術家の肖像』を出版し,同時代の主要な作家として活躍しはじめる. |
1919 | 前年の選挙に勝ったシン・フェイン党がアイルランド国民議会(ドイル)をつくり,ふたたびイギリスからの独立を宣言.(シン・フェインとは「われわれ自身で」という意味.)イギリスと国民議会支持勢力とのあいだで戦闘がおきる. |
1920 | イギリス議会でアイルランド統治法が成立.北アイルランドの6州にひとつの議会,それ以外のアイルランドにひとつの議会が,それぞれつくられる. |
1921 | イギリス自治領としてのアイルランド自由国を成立させる.イギリス・アイルランド条約が結ばれる.北アイルランド6州はイギリス統治下にとどまる. |
1922 | イギリスからの完全独立をもとめる民族主義勢力の反対を押し切り,国民議会がイギリス・アイルランド条約を承認.条約支持派と反対派との1年におよぶ内戦が勃発. |
1937 | アイルランド自由国を廃止して独立民主国家エールの樹立を宣言する新憲法が,国民の投票により承認される. |
1949 | イースター蜂起(1916年)を記念して,4月,エールが共和制国家アイルランドとなり,イギリス連邦を脱退する. |
1955 | 国際連合に加盟. |
1959 | エーモン・デ・ヴァレラが大統領に就任. |
1973 | ヨーロッパ経済共同体 (EEC) に加盟.アイルランド共和軍 (IRA) が北アイルランドでの攻撃を再開. |
1985 | イギリスとのあいだに,イギリス・アイルランド協定がむすばれる.これによりアイルランドは,北アイルランド統治に関して提言する役割をあたえられる. |
1991 | ヨーロッパ連合 (EU) に加盟. |
1993 | イギリス・アイルランド両首相が,テロ行為が集結すれば北アイルランド和平交渉を提案するという共同宣言(ダウニング街宣言)に署名. |
1998 | アイルランドと北アイルランドでの投票により,ベルファスト合意(聖金曜日協定)のしめす北アイルランド問題の政治的解決が承認される. |
2004 | EUの議長国となる. |
2004 | ヨーロッパ最大の経済成長を達成する. |
2005 | IRAが武力闘争の終結を宣言する. |
2007 | バーティ・アハーンが3期目の首相に選出される. |
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