現代英語の法助動詞は意味も用法もきわめて多岐にわたり,その体系を単純な方法で記述することはできない.法助動詞の歴史をみても,それぞれ実に複雑な経緯をたどっており,一筋縄ではいかない.
Hofmann は現代英語の法助動詞体系について,次のように述べている.
Perhaps the English modal system has become too complex and our speech is leading the way to a new system. If so, you can expect some new periphrastic forms in your lifetime. (113)
Hofmann の念頭にあるのは,法助動詞の代用としての迂言表現が主に口語で広く用いられている事実である.そして,これらの表現に共通しているのは,もともと複数の語からなっているものの,あたかも一語であるかのように発音が縮約されることである.出発点は迂言形だったにもかかわらず,いつの間にか,原形をとどめないほどに変化してきているところがおもしろい.古くから存在する法助動詞の役割を乗っ取らんかという,これら代用表現の勢いが印象的である.
・used to [ju:stə] for would
・have to [hæftə] for must
・have got to [hævgɑtə] for must
・(be) supposed to [spoʊstə] for ought to, should
・(be) going to [gɑnə] for shall, will
今後,特に口語においてこのような法助動詞の代用品が増えていくかもしれない.
・Hofmann,Th. R. Realms of Meaning. Harlow: Longman, 1993.
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