hellog〜英語史ブログ

#4667. 可算名詞と不可算名詞とは何なのか? --- 語彙意味論による分析[noun][countability][semantics][sobokunagimon]

2022-02-05

 英語の名詞には,可算名詞 (countable noun) と不可算名詞 (uncountable noun) がある.前者は不定冠詞 a(n) が付いたり複数形の -(e)s が付くが,後者はそのようなものは付かない.可算名詞の典型は普通名詞の book や集合名詞の family であり,不可算名詞の典型は物質名詞の water や抽象名詞の love である.
 上で「○○名詞」という名詞の種別が,すでに6つも現われた.これらの関係を整理するには,語彙意味論の観点から2つのパラメータを考慮するだけで足りる."bounded" と "internal structure" の2つである.
 "bounded" とは「定まった形をもっている」ということである.例えば,a book は,1冊の本として定まった形をイメージすることができるから "bounded" である.しかし,複数形の books では,何冊あるのか,それぞれがどのような位置関係にあるのかなどの疑問が湧き,全体としての定まった形をイメージすることは難しいので "unbounded" である.waterlove も,それだけでは定的なイメージを持ちにくいという点で,"unbounded" である.
 一方,"internal structure" は,内部に構造があるかどうか,さらに小さい単位へ分割が可能かどうかというパラメータである.a book は1冊だからこれ以上分割できない.しかし books は構成員であるそれぞれの本に分割できる.おもしろいのは a family のような名詞で,通常血のつながった複数のメンバーからなる集団を意味するから,内部構造をもち,個々人へと分割できる.waterlove は,一般的にはそれ自体の内部構造はないとみなされる(物理学や哲学のように,とことん突き詰めれば内部構造があると主張できるかもしれないが,ここではあくまで「一般的な見方によれば」である).
 この2つのパラメータを掛け合わせると次のように整理できる.

[+internal structure][-internal structure]
[+bounded]集合名詞 family普通名詞(個体) book
[-bounded]個体の複数 books
集合名詞の複数 families
物質名詞 water
抽象名詞 love


 このマトリックスの右下の1マスに納まっているのが不可算名詞(つまり [-bounded] かつ [-internal structure])であり,それ以外の3マスに納まっているのが可算名詞である.以上,『日英対照 英語学の基礎』の pp. 129--135 を参照した.

 ・ 三原 健一・高見 健一(編著),窪薗 晴夫・竝木 崇康・小野 尚久・杉本孝司・吉村あき子(著) 『日英対照 英語学の基礎』 くろしお出版,2013年.

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