昨日の記事[2010-12-30-1]で,Academic Word List (AWL) を導入した.この英語史ブログとして関心があるのは,AWL と銘打って収集されたこの語彙集のなかに本来語要素からなる語がどれだけ含まれているかという問題である.570語をざっと走査したら,以下の45語が挙がった.
acknowledge, albeit, aware, behalf, draft, forthcoming, furthermore, goal, hence, highlight, income, input, insight, layer, likewise, network, nevertheless, nonetheless, notwithstanding, offset, ongoing, outcome, output, overall, overlap, overseas, seek, shift, so-called, sole, somewhat, straightforward, tape, target, task, team, thereby, trend, undergo, underlie, undertake, welfare, whereas, whereby, widespread
570語中の45語で7.89%なので,予想通りに本来語の割合は少ない.しかし,数える前にはもっと小さい値が出るのではないかと踏んでいたので,意外に少なくないなと感じたのも事実である.Academic Word List というからには Greco-Latin の語がそれこそ100%に迫り,本来語は10語もあれば多いほうかと思い込んでいたのである.だが,本来語のリストを眺めていてなるほどど思った.out- や over- を接頭辞としてもつ実質的な語のカテゴリーが目立つ一方で,albeit, furthermore, hence, likewise, nevertheless, nonetheless, notwithstanding, thereby, whereas, whereby などの機能的・文法的なカテゴリーも目につく.forthcoming, ongoing, overall, so-called などの複合要素からなる形容詞も1カテゴリーをなしていると考えられるだろう.
ただし,本来語とはいっても古英語起源であるとは限らない.例えば,output などは1839年が初出である.上で最初に「本来語要素からなる語」と表現したのはそのためである.
なお,明確に本来語とはみなせないが Greco-Latin でもない語としては,古ノルド語からの借用語 bond, bulk, link, odd やオランダ語からの借用語 trigger があった.語源不詳のものとしては job もある.
現代英語の語彙数と起源別割合については,以下のリンクも参照.
・ [2010-06-30-1]: 現代英語の最頻語彙10000語の起源と割合
・ [2010-03-02-1]: 現代英語の基本語彙100語の起源と割合
・ [2009-11-15-1]: 現代英語の基本語彙600語の起源と割合
・ [2009-11-14-1]: 現代英語の借用語の起源と割合 (2)
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