授業で古英語,中英語の順にテキストを読み進めていくと,ほとんどの学生が,古英語から中英語に移ったときに現代英語にぐんと近づいたと感じる,と口にする.古英語を初めて読むとまるで英語とは思えないが,中英語は初めて読んでも現代英語とのつながりが感覚として感じられる,ということもよく聞かれる.では,主観的な感覚ではなく客観的な基準で,古英語,中英語,近代英語の異なり具合を評価できないだろうか.いいかえれば,言語類型論的に,英語の各段階はどのくらい似ていてどのくらい異なっているのだろうか.
誰しもが認める「客観的な基準」を設けるのは不可能であり,どこまでも主観がついて回るという限界を前提としつつ,Lass の評価を紹介する.Lass (30) は,10の言語特徴を選び出し,それを基準にして,主要なゲルマン語の「古さ」 ( archaism ) を数値化した.その結果,以下のようなランキング表が得られた( Nevalainen に要約されている図表より).
Rank | Language(s) |
---|---|
1.00 | Gothic, Old Icelandic |
0.95 | Old English |
0.90 | Old High German, Modern Icelandic |
0.85 | |
0.80 | |
0.75 | |
0.70 | |
0.65 | |
0.60 | Middle High German, Modern German, Middle Dutch |
0.55 | |
0.50 | |
0.45 | |
0.40 | |
0.35 | Middle English, Modern Swedish, Modern Dutch |
0.30 | |
0.25 | |
0.20 | |
0.15 | Afrikaans |
0.10 | |
0.05 | |
0.00 | Modern English |
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