昨日の記事「#1733. Canada における英語の歴史」 ([2014-01-24-1]) で,カナダにおける英語の歴史を概観した.そのなかで,カナダが1965年に国旗のデザインをカエデをかたどった現在のもの (Maple Leaf flag) に変更したことに触れた.National Symbols - Anthems and Symbols - Canadian Identity によると,それ以前のカナダの国旗としては様々なデザインがあったが,旗竿に近い上端の区画 (canton) に,英領であることを表わすものとして Union Jack が配されたものが多かった.例えば,1957年の時点では以下の左のものが採用されていた.
現在の国旗のデザイン(上掲右図)のカエデは,カナダの象徴として以前より用いられていたものであり,両側の縦縞は大西洋と太平洋を表わす.赤と白は,Union Jack を参照した歴代の配色でもある.1965年の国旗変更にあたっては,Union Jack を保持するものを含めいくつかの草案があったようだ.いずれにせよ,Maple Leaf flag の採用により,カナダ国民のイギリスからの独立意識はいっそう高まることになった.
一方,下に示したカナダの紋章は,より保守的な性格を保持している.「#433. Law French と英国王の大紋章」 (
[2010-07-04-1]) で取り上げた英国の紋章 (The Royal coat of arms) を模したデザインだが,左上に Union Jack もあれば,右上及び中央の盾の中にはフランスとの関係を物語る金の fleurs-de-lis も描かれている.台座の白百合もフレンチ・コネクションを表わす.そして,当然ながらカエデの葉も各所に配されている.下部の銘 (motto) はラテン語で
A MARI VSQVUE AD MARE (from sea through to sea) と書かれており,国旗の場合と同様に,太平洋と大西洋をつなぐ大陸国家であること示すものである.
なお,フランス系の伝統の濃い Quebec の州旗は fleurs-de-lis を配した,いかにもフランス的なデザインである.
国旗関連の話題としては,「#1697. Liberia の国旗」 (
[2013-12-19-1]),「#1703. 南アフリカの植民史と国旗」 (
[2013-12-25-1]) も参照.
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