昨年秋に研究社より『ライトハウス英和辞典 第7版』が出版されました.前身の『ユニオン英和辞典』が1972年に上梓されて以来,半世紀以上もの間,丁寧に改訂を重ねてきた老舗の学習者用英和辞典です.今回の第7版は紙媒体で出版されていますが,この春にはウェブ版も公開予定です.
第7版の「まえがき」では,編者の赤須薫先生(東洋大学)が「紙の辞書を使う意義」を解説しています (1--2) .ウェブ辞書が広く利用できる現在,紙の辞書を使う意義は何なのでしょうか.
それは,紙の辞書のアナログさには実にいろいろな付加価値が伴うからです.論より証拠,『ライトハウス英和辞典』を実際に手に取ってみてください.まずいろいろな意味で「見やすい」のです.全体を一気に見渡すこと,つまり俯瞰ができます.どの語がどれほどの情報を持っているのかが一瞬でわかります.色がついていて,どの情報に注目すべきか,すぐにわかるように設計されています.特に「基本語」です.誰でも知っている一見易しい語,例えば and, can, in, make, that など,実はいろいろな意味と用法があるため本当は一番難しいのです.そのため,記載されている情報の量が多いのですが,紙の辞書はその全体像を一気に捉えることができます.人間の目はよくできていて,必要に応じてズーム・イン,ズーム・アウトしてくれるのです.そして「読みやすい」活字を使って,解説をわかりやすくしてあります.また,楽しい「道草」もできます.ある単語を引こうとしていると,つい思いがけない情報に出会うことがあり,そこで思わぬ発見をしたりするのです.紙の辞書は手で引きますので,ページをめくる感覚,紙のにおい・インクのにおいといったものも伴います.また,自由に書き込んだり,マーカーを引いたり,色をつけたりすることもできます.この五感に訴えてくる感覚は紙の辞書ならではのもので,体で覚えることにつながります.これがのちのちの記憶の下支えにもなるのです.
上記の「紙の辞書を使う意義」には,私も賛同します.基本語の使い方の難しさについても同意します.
皆さんも,紙の辞書で基本語の記述を読み解く習慣をつけてみませんか?
・ 赤須 薫(編) 『ライトハウス英和辞典 第7版』 研究社,2023年.
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