hellog〜英語史ブログ

#5421. 最上級の -est は比較級の -er にもう1要素付け加わっただけ[superlative][comparison][adjective][suffix][reconstruction][indo-european][analogy]

2024-02-29

 へぇ,そうだったのか,という話題.
 Fertig (34) によると,標題の通り,形容詞・副詞の最上級を標示する接尾辞 -est は,比較級の -er を基にした発展版ということらしい.

The superlative suffix -est, for example, is historically a combination of the ancestor of the -er comparative suffix (*-ôz-/*-iz- in proto-Germanic) followed by an originally separate *-to-.


 もともとは *-ôz-/*-iz- と *-to- は別々の役割を果たす別々の接尾辞だったが,これが合わさる機会も多かったので,合わさった結果の形が1つの新しい接尾辞として理解されるようになったということだ.
 これはちょうど現代英語で -ist と -ic が別々の接尾辞とみなされているが,合わさった -istic も1つの独立した接尾辞ととらえられ得る状況に比べられる.例えば cannibalistic において,切り出すべき接尾辞は -ist と -ic の2つと分析するよりも,-istic の1つと分析するほうが実際的だろう.というのは,*cannibalist という単語はないからだ.
 これを教訓とすれば,比較級の -er は -ist に,最上級の -est は -istic に相当するということになろう.分かりやすいような分かりにくいような.

 ・ Fertig, David. Analogy and Morphological Change. Edinburgh: Edinburgh UP, 2013.

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