見直しが進んでいる日本の英語受容史の話題,あるいは日本人がいかに英語と付き合ってきたかという話題について,もう1冊の本が出版されています.
「はじめに」 (p. 12) には,私自身も何度も尋ねられ,うまく答えられないできた質問の数々が,以下のように列挙されています.いろいろな意味で耳の痛い質問の数々ですが,こういった問いにも自信をもって回答できるようになりたいとは思っています.
英語と日本人の関係は「なぜ」や「なぞ」に満ちている.
・ なぜ日本人は英語を学ぶのか.
・ 何年やっても英語が身につかないのはなぜなのか.
・ 小学校から英語を習えば,英語が話せるようになるのか.
・ 受験のために英単語の暗記や文法訳読をやる意味があるのか.
・ 英語が使える「グローバル人材」を学校で育成できるのか.
・ 英検や TOEIC でコミュニケーション能力が測れるのか.
・ コミュニケーション重視の英語教育改革は成果があったのか
・ AI(人工知能)自動翻訳・通訳が進んでも英語を学ぶ意味があるのか.
これらの「なぜ」や「など」に迫るには,著者も主張しているように,日本の英語受容史について真剣に学ぶ必要があると考えています.これは英語史の側からみると,英語の世界的拡大が日本社会においてはどのような展開を経たか,他の社会と何が似ていて,何が異なるのか,ということを探る試みになるだろうと思います.
関連書籍として「#4917. 2500年に及ぶ「学習英文法」の水脈 --- 斎藤浩一(著)『日本の「英文法」ができるまで』より」 ([2022-10-13-1]) も参照.
・ 江利川 春雄 『英語と日本人 --- 挫折と希望の二〇〇年』 筑摩書房〈ちくま選書〉,2023年.
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