hellog〜英語史ブログ

#2062. bytwyste の例[preposition][pearl][blend][contamination]

2014-12-19

 between の異形態の歴史について,「#1389. between の語源」 ([2013-02-14-1]),「#1393. between の歴史的異形態の豊富さ」([2013-02-18-1]),「#1394. between の異形態の分布の通時的変化」 ([2013-02-19-1]),「#1399. 初期中英語における between の異形態の分布」 ([2013-02-24-1]),「#1554. against の -st 語尾」 ([2013-07-29-1]),「#1807. ARCHER で betweenbetwixt」 ([2014-04-08-1]) などで取り上げてきた.現代英語の betwixt に連なる諸形態を含め,数多くの異形態が古英語以来おこなわれてきた.主要な異形態はおよそ辞書やコーパスから収集してきたつもりだったが,漏れがあった.MEDbitwix(e (prep.) に,異形態として挙げられている -twist だ.OED でも,中英語の異形態としての bytwyste が触れられている.しかし,MED にも OED にも異形態としての言及があるだけで,用例のなかには該当する形態が現われず,確認が取れていなかった.14世紀後半の作とされる Pearl を読んでいたところ,たまたま bytwyste に出くわしたので,メモしておきたい.脚韻位置に現われるので,ababababbcbc の脚韻スキームからなる12行の節 (ll. 457--468) をまるごと引用しよう.

'Of courtaysye, as saytz Saynt Poule,
Al arn we membrez of Jesu Kryst:
As heued and arme and legg and naule
Temen to hys body ful trwe and tryste,
Ryȝt so is vch a Krysten sawle
A longande lym to þe Mayster of myste.
Þenne loke: what hate oþer any gawle
Is tached oþer tyȝed þy lymmez bytwyste?
Þy heued hatz nauþer greme ne gryste
On arme oþer fynger þaȝ þou ber byȝe.
So fare we alle wyth luf and lyste
To kyng and quene by cortaysye.'


 他にもざっと探したが -twist 系の異形態は見つかっていないので,Pearl からのこの例が今のところ唯一例である.この形態の起源については, bitweies のような s で終わる形態に t が添加されたもの (paragoge) とも考えられるし,bitwixte のような /kst/ をもつ形態から /k/ が消失したものとも考えられる.あるいは,その両系列が融合した混成 (blending, contamination) の可能性も疑われる.表面的には非語源的な <t> の語末添加と見えるが,単なる音韻変化の問題なのか,混成や類推などという形態論的な側面も関与しているのか,議論の余地があるだろう.

 ・ Andrew, Malcolm and Ronald Waldron, eds. The Poems of the Pearl Manuscript. 3rd ed. Exeter: U of Exeter P, 2002.

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