英語は歴史のなかで数多くの言語と接触し、影響を受けてきたが、そのなかでも特に古ノルド語 ( Old Norse ) と古フランス語 ( Old French ) からのインパクトは顕著である.
古ノルド語は古英語後期から中英語初期にかけて、古フランス語は主に中英語期を中心に、英語に多大な影響を及ぼした.両言語とも現代英語に深い接触の爪痕を残した点では共通しているが、爪痕のタイプは天と地ほど違う.英語史の概説書でも両言語の影響はよく対比されるので、今回は対比ポイントをまとめておきたい.下の表は,英語史における古ノルド語と古フランス語の役割を図式的に対比させたものである.
古ノルド語 | 古フランス語 | |
---|---|---|
影響の顕著な時代 | 後期古英語から初期中英語 | 中英語 |
影響の始まった地域 | 主に北部・東部から | 主に南部から |
英語との言語的類似 | 大きい | 小さい |
英語との歴史文化的類似 | 大きい | 小さい |
書き言葉としての立場 | なし | 確立 |
影響の及ぼし手の数 | 多い | 少ない |
影響の及ぼし手の階級 | 一般階級 | 上流階級 |
英語との社会言語学的関係 | 同等 | 上位 |
相互の意思疎通 | 可能 | 不可能 |
借用語の数 | 中くらい | 多い |
借用語のタイプ | 内容語と機能語 | 主に内容語 |
借用語の難易度 | 主に基本語 | 基本語と難解語 |
借用語の頻度 | 高い | 中くらい |
借用語の文体 | 口語的 | 文語的 |
借用語の音節 | 多くは単音節 | 多くは多音節 |
地名の借用語 | 多い | 少ない |
綴り字への影響 | 少ない | 多い |
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