hellog〜英語史ブログ     helhub (The HEL Hub)

#6244. 『なぜさんたんげん』の担当編集者・田中さんと対談しています[notice][nazesantangen][nhkpb][voicy][heldio]

2026-06-01



 連日,6月10日に発売予定の新書『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』(NHK出版)に関連する記事を書いています.
 今回は,NHK出版の本書担当編集者と著者が heldio で対談した様子をお伝えしたいと思います.発売前に,二人三脚で本を作ってきた編集者と著者が語り合う様子が公開されるというのも珍しいかと思います.これまで2回にわたって対談してきました.

 ・ 第1回対談(5月13日配信),「#1809. 一昨日の『なぜさんたんげん』予約爆撃アワー生配信をアーカイヴでお届け」(対談自体は終わりの30分ほどをお聴きください)
 ・ 第2回対談(5月30日配信),「#1826. 『なぜさんたんげん』の裏側をお話しします --- NHK出版編集者・田中菜乃香さんとの対談 Part 2」

 今回は,直近に配信された第2回対談の主旨をご紹介します.

 対談の大きな柱となったのは,本書の「タイトル決定」に至るまでの長い舞台裏です.5月11日の「予約爆撃アワー企画」の初速や Amazon での好調な動き,またNHK出版デジタルマガジンでの第1章第5節(まさに「なぜ3単現の s をつけるのか」の目玉の節)の先行無料公開が3万ページビューを突破したことなど,発売前の大きな反響を喜びつつ,その魅力の根源がタイトル周りの議論にあったことを振り返りました.
 実は,タイトルが最終的に決まったのは3月末から4月初めという,かなりギリギリのタイミングであり,そこに至るまでには数百通りもの組み合わせを検討するプロセスがありました.編集の田中さんは,手探りだった本文の調整以上にタイトル周りで「自分を信じられるか」という疑心暗鬼に陥った瞬間があったと明かしてくれました.とりわけ,一時はタイトルから「3単現の s」という文言そのものを消去しようとした段階すらあった旨,触れられています.それは「サブタイトルに説明を付け足すのは長さに甘えているのではないか」という葛藤から生じた迷いでしたが,編集者と著者の間では盛り上がっていた意見に対して,社内の経験豊富な先輩たちのノウハウや蓄積に基づく異なる案が潤滑剤として加わったことで,最終的に現在の形に落ち着きました.このプロセスを通じて,この本を本当に必要としている層の読者は,自分に必要なのが「英語史」であるとは気づいていない,という原点に立ち返ることができたのは,編集者および著者にとって非常に大きな成果でした.
 また,本書のもう1つの魅力として,文体調整と用語解説へのこだわりが挙げられます.中高生向けの連載をベースとしつつも,新書という大人向けのジャンルに仕立て直すにあたり,ある程度の専門用語もあえて交えるという挑戦を試みました.ただし,専門知識がない読者でも自然と読み進められるよう,丁寧な言い換え表現や解説は加えてあります.読者の代表としての編集者目線と,伝えたい熱意が先走りがちな著者・研究者目線という,2つのプロフェッショナルな視点が火花を散らしつつも,最終的に融合したからこそ,今回の形にこぎつけることができたのだと,改めて実感させられる対談となりました.

 以上が第2回対談の概要となりますが,第1回・第2回ともに,ぜひ上記の音声配信を直接お聴きいただければと思います.編集者と著者の息づかいが伝わるかと思います.
 近日中に対談の続編をお届けする予定ですので,どうぞお楽しみに.

 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版,2026年.

[ | 固定リンク | 印刷用ページ ]

Powered by WinChalow1.0rc4 based on chalow