昨日の記事「#3898. danger, dangerous の意味変化」 ([2019-12-29-1]) で触れたように,danger, dangerous の語源素はラテン語の domus (家,ドーム)である.ラテン語ではきわめて基本的な語であるから,そこから派生した語は多く,英語にも様々な経路で借用されてきた.以下に関連語を一覧してみよう.昨日みたように,「家」「家の主人」「支配者」「支配(力)」「危険」など各種の意味が発展してきた様子が伝わるのではないか.
condominium, dame, Dan, danger, demesne, Dom, domain, dome, domestic, domicile, dominant, dominate, domination, domineering, dominical, dominion, domino, dona, duenna, dungeon, madam, madame, mademoiselle, Madonna, majordomo, predominate
「危険」と関連して「損害」の意味を含む damage, damn, condemn なども,domus と間接的に関わる.これらの語は,直接的にはラテン語の別の語根 damnum "loss, injury" に起源をもち,その後期ラテン語形である damniārium を経由して発展してきたと考えられるが,そこには後者の語形と *dominiāriu(m) "dominion" との混同も関与していたようだ.
ラテン語からさらにさかのぼれば,印欧祖語 *dem(ə)- "house, household" にたどりつく.ここから古英語経由で timber (建築用木材),古ノルド語経由で toft (家屋敷),ギリシア語経由で despot (専制君主)なども英語語彙に加わっている.
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