講演「英語教育と英語史研究の擦り合わせ」
慶應義塾大学 堀田隆一
2023年3月11日(土) 16:25~17:55
「hellog~英語史ブログ」: http://user.keio.ac.jp/~rhotta
英語教育と英語史研究の接点を探る試みは,主として語源による語彙学習の分野で,また英米文学(史)教育との関わりにおいて,これまでも見られたものの,散発的で非体系的な位置づけにとどまり,本格的な関心をもたれずに現在に至る.しかし,今こそ両者の接近がこれまで以上に求められる時代ではないか.2019年より実施されている教職課程の「外国語(英語)教員コアカリキュラム」の学習目標の1つに「英語の歴史的変遷,国際共通語としての英語」が含まれている.「英語の歴史的変遷」は伝統的に英語史研究が取り組んできたテーマであり,「国際共通語としての英語」も近年の社会言語学的な知見を取り入れた英語史の得意とする分野である.
本講演は,まず理論編として英語教育と英語史研究の両者が共有していること,また相互理解し協力できることが何かを探ることから始める.続いて実践編として,講演者自身が大学内外において英語(史)の研究・教育の発展と普及のために行なっているいくつかの試みを紹介する.最後に “English” という英単語を英語史の観点から掘り下げ,英語教育と英語史研究の擦り合わせのための具体的な提案を示したい.
* 本スライドは https://buff.ly/3ZDOWLw からアクセスできます.
いずれにせよ英語史のハードルを下げる必要が!
「外国語(英語)コアカリキュラムについて」 における「英語科に関する専門的事項」の4系列 (pp. 7–9)
関係者:生徒・学生,一般の英語学習者,英語教員,英語教員養成者,英語教育研究者,英語学研究者,英語史研究者,等々.互いに近いようで遠い存在.
言語学の主たる関心はこの100年間,通時態よりも共時態を優先してきた
現代の英語学の潮流は形式から機能(コミュニケーション)へ
英語のミクロ(内面)とマクロ(外面)の両側面からの素朴な疑問に対応できる.
英語教育における英米標準英語への信仰とそこからの解放
英語教育と英語史の接点についてご意見をいただければ幸いです.