大英帝国の拡大と英語

2017年12月17日

堀田 隆一

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要点

  1. 大英帝国の発展
  2. 英語の求心力 --- 標準化・規範化
  3. 英語の遠心力 --- 世界の様々な英語

(1) 大英帝国の発展

  1. 「島国であって島国でないイギリス」 (#159)
  2. 英国(イングランド)の帝国主義は中世から
  3. 16世紀後半から20世紀にかけての英国の植民地支配と帝国支配
  4. 大英帝国の「大」とは? (#734)

関連年表 (#777, #1377, #2562)

(2) 英語の求心力 --- 標準化・規範化

  1. 政治的統一と標準英語の確立:「大英帝国」以前に,まず英国国内の標準的な英語を確立せよ!
  2. 14世紀後半より,英語の書き言葉が徐々に標準化 (#1275)
  3. 18世紀,規範主義の時代
  4. 規範主義の影響は21世紀にも

標準化と規範化

  1. 標準英語とは? (#1396)
  2. 言語の標準化の4つの段階 (#2742, #2745)
  3. 標準化・規範化は語彙→文法→発音の順序で (#2772, #2773)
  4. 英語の標準化と規範主義の関係 (#1246)

18世紀の規範主義

  1. 18世紀は「理性の時代」
  2. 英語を規準化し,洗練し,固定化したいという潮流 (#2741)
  3. 言語を規制するアカデミー設立の問題 (cf. ジョナサン・スウィフト; #2759)
  4. 拠るべきは理性か慣用か? (#141)

辞書,文法書,発音指南書

  1. 1755年,サミュエル・ジョンソン,Dictionary of the English Language の出版 (#1420)
  2. 1762年,ロバート・ラウス,A Short Introduction to English Grammar を出版 (#2583)
  3. 1780年,トマス・シェリダン,General Dictionary of the English Language を出版
  4. 1791年,ジョン・ウォーカー,Critical Pronouncing Dictionary and Expositor of the English Language を出版 (#1456)
  5. 1795年,リンドリー・マリーの English Grammar の出版 (#2592)
  6. 1858--1928年,Oxford English Dictionary の編纂 (#304, #644)

規範文法の例

  1. 受験英語の文法問題 (#124)
  2. 誤用とされる英語の語法 Top 10 (#301)
  3. ラウスの禁じた語法・用法 (#3036)

(3) 英語の遠心力 --- 世界の様々な英語

  1. 英語の広がりを世界地図で (#376)
  2. ENL (English as a Native Language), ESL (English as a Second Language), EFL (English as a Foreign Language) (#173, #177, #215)
  3. 英語話者人口の爆発 (#319, #933, #1591)
  4. 大英帝国の拡大とともに英語も世界中に拡散
  5. その過程で様々な英語変種が出現

様々な英語変種の例

  1. アジア英語の諸変種 (#1590)
  2. カメルーンの英語 (#412, #413)
  3. ピトケルン島の英語 (#1683)
  4. 小笠原群島の英語 (#2559)
  5. その他のピジン語とクレオール語の分布 (#1531)

英語変種の諸分類法

  1. 植民地化の様式でみる World Englishes の分類 (#409)
  2. 英語史における英語拡散の4つのパターン (#1919)
  3. 英語変種の3分類 (#2403)

21世紀,求心力と遠心力のせめぎ合い

  1. 多様性の許容は英語をバラバラにするか? (#1360)
  2. 世界における英語使用のジレンマ (#2986)
  3. 英語が一枚岩ではないのは過去も現在も未来も同じ (#2989)

まとめ

大英帝国の発展は

 (1) 英語の標準化・規範化を後押しして,英語に「求心力」をもたらした一方で,

 (2) 英語の多様化を招き,英語に「遠心力」をもたらし,

現在および未来の英語のあり方の基礎を築いた.

参考文献