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#3811. アフリカの語族と諸言語の概要[africa][language_family][map][origin_of_language]

2019-10-03

 人類の言語の起源がアフリカにあるだろうということは,今日,多くの言語学者が認めているところである.とすれば今日のアフリカの言語分布に関心が湧いてくるわけだが,最も長い歴史を有しているからこそなのか,不確かなことが多い.アフリカの言語分布について大雑把にまとめてみよう.
 「#3290. アフリカの公用語事情」 ([2018-04-30-1]) でみたように,現在のアフリカでは約2千もの言語が話されており,言語の多様性は著しく高い(「#3807. アフリカにおける言語の多様性 (1)」 ([2019-09-29-1]),「#3808. アフリカにおける言語の多様性 (2)」 ([2019-09-30-1]) を参照).アフリカの中央・南部で話されている諸言語は,およそ Niger-Kordofanian, Nilo-Sahara, Khoisan の3語族のいずれかに属するが,相互の関係が分かっていないばかりか,世界の他のいかなる語族ともどのような関係にあるか未詳である.言語学者のなかには,世界には2つの言語グループがあり,1つはアフリカの中央・南部の言語群,もう1つはそれ以外のすべてだ,という者もあるほどだ (Comrie 74) .
 アフリカで行なわれている4つの語族を紹介しておこう.宮本・松田 (689) のアフリカの語族・諸言語の分布図によると,中央と南部のほとんどのエリアは,Niger-Kordofanian 語族の諸言語によって占められている.Bantu 系を含む多くの言語がここに属し,今から約1万年前には,その分布は西アフリカに限定されていたようだが,その後,南や西へ拡大したといわれる.  *
 その Niger-Kordofanian 語族の歴史的な拡大の犠牲となったのが,もともと南部に広く分布していた Khoisan 語族の諸言語である.その代表的な言語は Namibia の国語で16万人の話者がいるとされる Khoekhoe (or Damara) だが,同語族の他の言語は衰退してきている.舌打ち音 (click) で知られる語族だ.
 アフリカ中央部で,他の語族に取り囲まれるようにひっそりと分布しているのは,Nilo-Sahara 語族の諸言語である.古くから分布はそれほど大きく変化していないとされる.Songhai, Saharan, Chari-Nile などが含まれるが,互いに言語的にそれほど近くはない.
 北アフリカを占めているのは,Arabian に代表される Afro-Asiatic 語族である.その名の通りアジア(おそらくはヨーロッパも)の諸言語と関係しており,歴史的にも重要な言語を多く含む.
 この4つの語族の担い手については,約1万年前の段階でその祖先とおぼしき集団が確認される.Niger-Kordofanian 語族は West Africans という集団に,Khoisan 語族,Nilo-Saharan 語族,Afro-Asiatic 語族はそれぞれ Bushmen, Nilotics, North Africans という集団に対応するといわれる.逆に,かつてアフリカ中央に居住していたが,現在,対応する語族の存在が確認されない集団としては Pygmies がいる.彼らは,歴史の過程で,西アフリカから拡大した Niger-Kordofanian 語族の Bantu 系諸語に呑み込まれ,言語交代しつつ現代に至っている.

 ・ Comrie, Bernard, Stephen Matthews, and Maria Polinsky, eds. The Atlas of Languages. Rev. ed. New York: Facts on File, 2003.
 ・ 宮本 正興・松田 素二(編) 『新書アフリカ史 改訂版』 講談社〈講談社現代新書〉,2018年.

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