hellog〜英語史ブログ

#481. father に起こった摩擦音化[fricativisation][phonetics]

2010-08-21

 昨日の記事[2010-08-20-1]で,印欧祖語の pater in PIE から現代英語の father にいたる長い音声変化の道のりを示したが,一連の子音変化の最後に起こった摩擦音化について追記したい.d > ð の変化は1400年以降に「強勢のある母音 + d + 音節主音的 r 」という音声環境で起こり始めた.近代英語期には,これに関わる多くの語でいまだ dð のあいだに揺れがみられ,特に faderfather, modermother では揺れが激しかった.最終的には,以下のような多くの語で ð へ移行して現在に至っている.

furder > further, gader > gather, hider > hither, togeder > together, weder > weather, wheder > whether, whider > whither


 しかし,d が残った burden, murder, rudder などの語も少数だがある.Shakespeare 辺りでは,いまだに burthenmurther も普通に見られた ( Scragg 32fn ) .

 ・ 中尾 俊夫 『音韻史』 英語学大系第11巻,大修館書店,1985年.384, 386--87頁.
 ・ Scragg, D. G. A History of English Spelling. Manchester: Manchester UP, 1974.

Referrer (Inside): [2015-05-10-1] [2011-03-26-1]

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