[2009-07-02-1]の記事で reduplication 「重複」について話題にした.現代英語では,reduplication はもっぱら造語や強調に用いられるとしていくつか例を挙げたが,pidgin English の語彙を考慮に入れるのであれば,例の数は一気に増加する.pidgin English では,意味の強調のほか,同音語の衝突を避ける手段としても reduplication が利用されているという (Jenkins 56).
tok "talk" --- toktok "chatter"
look "look" --- looklook "stare"
sip "ship" --- sipsip "sheep" (in some Pacific pidgins)
pis "peace" --- pispis "urinate" (in some Pacific pidgins)
was "watch" --- waswas "wash" (in some Atlantic pidgins)
pidgin はたいてい音素の種類が少なく,英語など語彙を提供する側の言語 ( lexifier language ) から語彙を受け取ると,とかく homophones 「同音異義語」が生じてしまう.したがって,このような therapeutic な装置が発動するということなのだろう.pidgin English では,reduplication は非常に生産的な造語機能を担っているようである.
・Jenkins, Jennifer. World Englishes: A Resource Book for Students. Abingdon: Routledge, 2003.
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