hellog〜英語史ブログ

#269. pidgin English における reduplication[reduplication][pidgin][homophone]

2010-01-21

 [2009-07-02-1]の記事で reduplication重複」について話題にした.現代英語では,reduplication はもっぱら造語や強調に用いられるとしていくつか例を挙げたが,pidgin English の語彙を考慮に入れるのであれば,例の数は一気に増加する.pidgin English では,意味の強調のほか,同音語の衝突を避ける手段としても reduplication が利用されているという (Jenkins 56).

 tok "talk" --- toktok "chatter"
 look "look" --- looklook "stare"
 sip "ship" --- sipsip "sheep" (in some Pacific pidgins)
 pis "peace" --- pispis "urinate" (in some Pacific pidgins)
 was "watch" --- waswas "wash" (in some Atlantic pidgins)

 pidgin はたいてい音素の種類が少なく,英語など語彙を提供する側の言語 ( lexifier language ) から語彙を受け取ると,とかく homophones同音異義語」が生じてしまう.したがって,このような therapeutic な装置が発動するということなのだろう.pidgin English では,reduplication は非常に生産的な造語機能を担っているようである.

 ・Jenkins, Jennifer. World Englishes: A Resource Book for Students. Abingdon: Routledge, 2003.

Referrer (Inside): [2010-08-09-1]

[ | 固定リンク | 印刷用ページ ]

Powered by WinChalow1.0rc4 based on chalow