慶應義塾大学文学部英米文学専攻の堀田ゼミでは,9月16日(月)から18日(水)にかけて伊東の温泉宿にて2泊3日のゼミ合宿を実施しました.初日と2日目は,参加した大学院生,学部4年生,学部3年生の総勢32名が,各々の個人研究のテーマを短時間で紹介・発表する「ポスターなしポスターセッション」の課題をこなしました.
「英語史ゼミ」なのですが,実際にはゼミ学生の扱っているテーマは多岐にわたります.何がどう英語史なのかと疑問に思われるテーマもあるかもしれませんが,そのような疑問が生じること自体が英語史の魅力だと考えています.「○○×英語史」の問題を大喜利のように解いていくことにより,英語史のキャパシティが実際に広がっていくからです.皆さんにも,クイズやパズルのように,楽しんでいただければ.
以下,32名の(仮)テーマを掲げます(注:私がリフレーズしたものもあります).
【 大学院生 】
1. 古英語時代における強変化動詞活用の変遷 --- frīġnan
2. Peterborough Chronicle の統語論と語順
3. EEBO TCP を用いた語源的綴字の普及時期の調査
4. 「大母音推移」研究のこれまでとこれから
【 学部4年生(この冬に卒業論文を控えています) 】
5. オーストラリア国内におけるアクセントの変化
6. 接尾辞 -like について
7. 英語の方言が生み出すステレオタイプの動向
8. 法助動詞の衰退
9. 前置詞を伴う動名詞補文の発達
10. 行為者接尾辞としての -ive の立ち位置を探る
11. ラテン・ギリシア複数形の「脱複数化」
12. スラングの残存と廃滅
13. 英単語の多義性 --- fast に焦点を当てて
14. 英語ことわざの形容詞的用法
15. 脱ダイグロシア化が進むシンガポールの言語社会
16. 比較級形容詞と共起名詞の関係性
17. イングランドにおける父称由来の苗字
【 学部3年生 】
18. 呼びかけ語としての man の用法
19. 日本と韓国の英語学習の比較
20. 英訳「ノアの箱舟」の語彙と意味変化
21. 英語省略語の意義,効果,その歴史
22. 言語変化の因果論
23. 英語・ヒンディー語の code-switching
24. ある語に対する類義語の数と,いつどこから増えていったのか
25. 英語史上にみられる code-switching と現代の code-switching の比較
26. 近代英語における wh- 関係節の考察
27. 呼称からみるフィリピン社会
28. 映画『スター・ウォーズ』シリーズにおける役割語
29. 婉曲表現の分類と用法
30. 名詞 lockdown とコロナの関係
31. 9世紀後半における英語振興と英語教育の歴史的背景
32. 今年ひときわ耳にする nomination の選挙ナラティヴ
以上,32名のテーマについては,合宿中に Voicy 収録した2回の配信回も合わせてお聴きください.
・ 「#1206. khelf ゼミ合宿2024秋 at 伊東 --- Day 1」
・ 「#1208. khelf ゼミ合宿2024秋 at 伊東 --- Day 2」
今回の2泊3日のゼミ合宿では,ほかにも英語史に関するグループコンテンツ作成などの活動を行ないました.その様子や成果は,向こう数日間,khelf の公式 X アカウント @khelf_keio や公式 Instagram アカウント @khelf_keio より発信していく予定ですので,ぜひご注目ください.
Powered by WinChalow1.0rc4 based on chalow