最も著名な18世紀の規範文法家 Robert Lowth (1710--87) とその著書 A Short Introduction to English Grammar (1762) について,hellog では「#2583. Robert Lowth, Short Introduction to English Grammar」 ([2016-05-23-1]) や lowth の各記事で取り上げてきた.昨日の記事「#4918. William Bullokar の8品詞論」 ([2022-10-14-1]) を受けて,Lowth の品詞論を確認しておこう.Lowth は9品詞を掲げている.以下,斎藤 (26--27) より.
(1) 冠詞 (Article): Definite/Indefinite
(2) 名詞 (Substantive, or Noun): Common/Proper
数 (Number): Singular/Plural
格 (Case): Nominative/Possessive
性 (Gender): Masculine/Feminine/Neuter
(3) 代名詞 (Pronoun):
Personal/Relative/Interrogative/Definitive/Distributive/Reciprocal
※ 人称 (Person): First/Second/Third
(4) 形容詞 (Adjective), (5) 副詞 (Adverb)
比較 (Comparison): Positive/Comparative/Superlative
(6) 動詞 (Verb): Active (Transitive)/Passive/Neuter (Intransitive)
法 (Mode): Indicative/Imperative/Subjunctive/Infinitive/Participle
時制 (Tense):
Present/Past/Future
Present Imperfect/Present Perfect/Past Imperfect
Past Perfect/Future Imperfect/Future Perfect
※ 'Imperfect' は,現代の「進行形」に相当
助動詞 (Auxiliary),規則・不規則動詞 (Regular/Irregular)
欠如動詞 (Defective)
(7) 前置詞 (Preposition)
(8) 接続詞 (Conjunction): Copulative/Disjunctive
(9) 間投詞 (interjection)
Bullokar の8品詞論と比べて Lowth の9品詞論について注目すべき点は,冠詞 (Article) が加えられていること,名詞から形容詞が分化し区別されるようになっていること,分詞が動詞の配下の1区分として格下げされていることである.斎藤 (27) も述べている通り「全体として見れば,現代のわれわれにとりなじみ深い概念の多くが成立していることも事実であり,これこそ16世紀以来続いた試行錯誤の一応の到達点だった」と理解することができる.
・ 斎藤 浩一 『日本の「英文法」ができるまで』 研究社,2022年.
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