先日の khelf-conference-2022 (=ゼミ合宿)で,専修大学の菊地翔太先生に eWAVE 講習会@khelf-conference-2022を開いていただきました.実践的にご紹介いただき,たいへん勉強になりました(菊地先生,ありがとうございます!).
eWAVE 3.0 (= The Electronic World Atlas of Varieties of English) は,世界中の英語変種の言語学的特徴が格納されているデータベースです.現在までに77の変種に関する言語学的(主に形態統語的)情報,および背景情報が整理されて提供されています.言語データの提供源は,各変種についての記述的研究,コーパス,そして84人の専門家のインフォーマントです.
変種間の比較対照のために設定されている言語項目は235件の形態統語的特徴で,Attestation, Pervasiveness, Area の3つのパラメータによりソートすることができ,結果を容易に世界地図上にプロットできる仕様となっています.
eWAVE のイントロによると,このデータベースを利用することで,次のような問いに答えを出すことができるとのことです.
・ Which features are most/least widespread across varieties of English worldwide?
・ How many varieties of English worldwide share feature X?
・ Is feature X restricted to or characteristic of a particular part of the English-speaking world?
・ Is feature X restricted to or characteristic of a particular group of varieties?
・ Does variety A have feature X?
・ In which area of grammar does variety A differ most from variety B?
世界英語 (world_englishes) を研究する上で,間違いなく重要なツールとなります.一方,使用するに当たって注意すべき点もあります.詳細や関連情報については,eWAVE 講習会@khelf-conference-2022の資料が有用です.ぜひじっくり学んでみてください.
eWAVE の編纂者の1人 Kortmann については,本ブログでも世界英語の話題と関連して,以下で触れていますので,合わせてどうぞ.
・ 「#4509. "angloversals" --- 世界英語にみられる「普遍的な」言語項目」 ([2021-08-31-1])
・ 「#4763. 多くの世界英語変種にみられる非標準的な言語項目トップ11」 ([2022-05-12-1])
・ Kortmann, Bernd, Kerstin Lunkenheimer, and Katharina Ehret, eds. The Electronic World Atlas of Varieties of English. Zenodo, 2020. Available online at http://ewave-atlas.org.
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