hellog〜英語史ブログ

#4525. 「性交」を表わす語を上から下まで[taboo][euphemism][swearing][slang][thesaurus]

2021-09-16

 古今東西の言語で,性に関する語句はタブー (taboo) となりやすく,様々な婉曲表現 (euphemism) が発達するのが通例である.英語でも「性交」を意味する語句は枚挙にいとまがない.公的に用いても問題ない「上」の語句から,俗語 (slang) として日陰でしか使われない「下」の語句まで,実に幅広い.Hughes (242) がその氷山の一角として,次のように挙げている.

   reproduction
   generation
   copulation
   coition
   intercourse
   congress
   intimacy
   carnal knowledge
   coupling
   pairing
   mating
at roughly which point the line is drawn, below which are found:
   shagging
   banging
   bonking
   fucking


 上下を2分するおよその線が下から5行目に引かれているが,本当は下のクラスに属する語句の方が圧倒的に多い.書き切れないし書くのも憚られるものが多いので,あえて省略しているということだろう.憚られるものをいくつか小声で紹介すれば beast with two backs, bum dancing, bottom wetting, a squirt and a squeeze など.この目的で俗語辞典をめくってみれば,数百件はくだらない(大多数が下のクラス).
 上下を分ける線の位置については,そもそも絶対的に定めることはできない.判断は個人によっても異なるし,時代によっても変化してきた.おそらく世代間でも線引きの仕方や認識はいくらか異なるだろう.調べてみれば,興味深い通時的研究になりそうだ.

 ・ Hughes, Geoffrey. Swearing: A Social History of Foul Language, Oaths and Profanity in English. London: Penguin, 1998.

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