現代英語の書き言葉では punctuation 「句読法」の果たす役割は非常に大きい.period, comma, colon, semicolon, hyphen, apostrophe, question mark, exclamation mark, quotation marks をはじめ,asterisk, italics, bold type, capitalisation, indentation なども広く punctuation の構成要素と考えてよい.MLA Handbook for Writers of Research Papers や The Chicago Manual of Style などでは句読法の規範が細かく示されており,実際に物書きは句読法にたいそうこだわるのが通例である.そこまで厳しくせずとも,一般の書き手や読み手も,句読法が書きやすさや読みやすさに関係することを知っており,それなりの役割を果たしていることを認識している.
Crystal (278) によれば,punctuation には少なくとも4つの機能がある.
(1) grammatical: "to enable stretches of written language to be read coherently, by displaying their grammatical structure"
(2) prosodic: "representing the intonation and emphasis of spoken language"
(3) semantic/rhetorical: "highlight semantic units or contrasts present in the text but not directly related to its grammatical structure"
(4) semantic/graphic: "add a semantic dimension, unique to the graphic medium, which it would be difficult or impossible to read aloud"
punctuation といってすぐに思いつくのは,(1) の grammatical な用途だろう.文という統語的な単位を区切るのに period を用いる,等位関係を示したり語句を列挙するのに comma を用いる,語と語を区別するのに space を用いるなどが punctuation の典型的な用法だろう.
(2) の prosodic な機能とは,question mark で上昇調を示すであるとか,exclamation mark で語気を表現するなどである.
(3) の semantic/rhetorical は広い意味で文体的な機能と考えてもよいかもしれない.semicolon で節を列挙することによって演説調を表現したり,韻文で行分割や stanza 形式の表示法を利用するなどがこれに当たる.
(4) は話し言葉に対応するものがないが意味に貢献する機能で,「いわゆる」を表わす scare quotes や,強調を示すために *VERY IMPORTANT* などとアステリスクで挟んだり大文字化する技法などが例となる.
電子メール文化が徐々に熟してきて punctuation にも様々な新しい慣用が出現しつつある.言語の変化は,言語を構成する主要な components ( see [2010-05-09-1] ) のみならず,punctuation のような周辺的な component でも確実に生じている.では,過去にはどうだったか.もちろん,英語史においても punctuation は常に変化してきた.その概要は明日の記事で.
・ Crystal, David. The Cambridge Encyclopedia of the English Language. 2nd ed. Cambridge: CUP, 2003.
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