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homophone - hellog〜英語史ブログ

最終更新時間: 2024-12-21 12:40

2010-02-06 Sat

#285. 英語の綴字と漢字の共通点 (2) [grammatology][alphabet][spelling_pronunciation_gap][kanji][homophone]

 昨日の記事[2010-02-05-1]の続編.英語の文字体系を漢字と同じ表語文字(正確には表形態素文字)ととらえれば,喧伝されている英語綴字の不条理について,不満が少しは静まるのではないかという話である.
 日本語の不便の一つに同音異綴 ( homophony ) がある.例えば「こうし」と仮名で書いた場合,『広辞苑』によればこれは44語に対応する.

子牛・犢,工師,公子,公司,公私,公使,公試,孔子,甲子,交子,交趾・交阯,光子,合志,好士,考試,行死,行使,孝子,孝志,更始,厚志,厚紙,後肢,後翅,後嗣,皇子,皇師,皇嗣,紅脂,紅紫,郊祀,香脂,格子,貢士,貢使,高士,高志,高師,黄紙,皓歯,構思,嚆矢,講師,恋し


 発音ではアクセントによって「子牛」と「講師」などは区別がつけられるが,大部分は区別不能である.文脈によって判別できるケースも多いだろうが,何よりも漢字で書けば一発で問題は解決する.これは,漢字の本質的な機能が,音を表すことではなく語(形態素)を表すことにあるからである.
 英語では,同音異義はこれほど著しくはないが,やはり存在する.so, sow, sew はいずれも /səʊ/ と発音されるが,語(形態素)としては別々である.通常は文脈によって判別できるだろうが,やはり綴字の違いがありがたい.これも,英語の綴字の機能の一部として,音でなく語(形態素)を表すという役割があるからこそである.ここにも,英語の綴字と漢字の共通点があった.

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2010-01-21 Thu

#269. pidgin English における reduplication [reduplication][pidgin][homophone]

 [2009-07-02-1]の記事で reduplication重複」について話題にした.現代英語では,reduplication はもっぱら造語や強調に用いられるとしていくつか例を挙げたが,pidgin English の語彙を考慮に入れるのであれば,例の数は一気に増加する.pidgin English では,意味の強調のほか,同音語の衝突を避ける手段としても reduplication が利用されているという (Jenkins 56).

 tok "talk" --- toktok "chatter"
 look "look" --- looklook "stare"
 sip "ship" --- sipsip "sheep" (in some Pacific pidgins)
 pis "peace" --- pispis "urinate" (in some Pacific pidgins)
 was "watch" --- waswas "wash" (in some Atlantic pidgins)

 pidgin はたいてい音素の種類が少なく,英語など語彙を提供する側の言語 ( lexifier language ) から語彙を受け取ると,とかく homophones同音異義語」が生じてしまう.したがって,このような therapeutic な装置が発動するということなのだろう.pidgin English では,reduplication は非常に生産的な造語機能を担っているようである.

 ・Jenkins, Jennifer. World Englishes: A Resource Book for Students. Abingdon: Routledge, 2003.

Referrer (Inside): [2010-08-09-1]

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