hellog〜英語史ブログ

#5596. 英詩には変な語順があり得る --- OVS, VSO, OSV, SOV[poetry][syntax][word_order][poetic_license][rhetoric][star_wars][voicy]heldio]

2024-08-22

 現代英語は固定語順の言語といわれる.例えば S, V, O の3要素に限って考えても,通常は S+V+O の並べ方しか許容されない.「通常は」確かにそうなのだが,近現代英語の詩,あるいはその他の修辞的な文脈においては,詩的許容 (poetic_license) によって語順規則を破ることが許されることがある.Crystal (98) がいくつかの語順について具体例を挙げている.

SVO the boy saw the man
OVS Johns I invited --- not Smith
VSO govern thou my song (Milton)
OSV strange fits of passion have I known (Wordsworth)
SOV pensive poets painful vigils keep (Pope)


 ほかには,フィクションではあるが Star Wars のジェダイマスター,ヨーダの話す「ヨーダ語」 (Yodish) の語順がよく知られている.これについても Crystal (98) から引用しよう.

Sick have I become.
Strong am I with the Force.
Your father he is.
When nine hundred years old you reach, look as good you will not.


 現代英語では SVO の語順があまりに自然で盤石であるため,そこから意図的に逸脱した語順は否応なく目立ち,むしろ修辞的な利用価値が高まる,といった事情があるように思われる.
 語順 (word_order) については,最近「#5585. 『子供の科学』9月号で小5生からの「なぜ,日本語と英語では語順が違うのですか?」に回答しました」 ([2024-08-11-1]) の記事で取り上げた.また,今朝の heldio より「#1180. 『子供の科学』で日英語の基本語順について回答しました」もお聴きください.



 ・ Crystal, David. The Cambridge Encyclopedia of Language. 2nd. Cambridge: CUP, 2003.

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