hellog〜英語史ブログ

#989. 2011年の英語流行語大賞[lexicology][ads][woy]

2012-01-11

 今年もこの時期が巡ってきた.American Dialect Society による The Word of the Year の公表の時期だ.2011年の大賞は occupy だった.既存の語ではあるが,"verb, noun, and combining form referring to the Occupy protest movement" という用法により新たに生命を吹き込まれた.
 2011年9月17日,New York の Zuccotti Park で "Occupy Wall Street" の運動が始まった.これ以降,世界で類似の Occupy movement が多発.民衆が,"We are the 99%" というスローガンを掲げて,経済や社会の不平等を一斉に唱え出した事件である.
 occupy は,ノミネートされた語句のなかでは,2011年のかなり後半からの出馬だったが,よほど衝撃が強かったようで,決選投票の末に次点の the 99%, 99 percenters を大差で破った.後者は "those held to be at a financial or political disadvantage to the top moneymakers, the one-percenters" を意味し,これも言ってみれば occupy 関連用語だから,当社会現象の影響の大きさが知れる.
 ADS の公表について,詳しくは1月7日付けのADS による公式発表プレスリリース (PDF)を参照されたい.Wordorigins.org の運営者による,この結果についてのレビューが,こちらのページで読める.
 2011年の流行語については,The Daily Telegraph2011年11月10日の記事でも,occupy が過去1年間でインターネット及び紙面で最も多く使われた英単語だったとする研究を紹介している.

The most commonly used English word on the internet and in print in the past year was "occupy", a study has found. Repeated references to the Occupy Movement, which inspired protests outside St Paul's Cathedral in London and in other major world cities, helped push the word into first place, researchers said.


 流行語の公表としては,ほかに Global Language Monitor によるものがある.その記事によると,2011年の Top Word はやはり occupy.Top Phrase は Arab Spring で,Top Name は Steve Jobs とのこと.
 過去の ADS による流行語大賞関連の記事については,##623,262,263,245 などを参照.

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