hellog〜英語史ブログ

#6025. chore 「雑用」と charwoman 「日雇い雑役婦」[etymology]

2025-10-25

 「雑用」を意味する chore という語がある.日々の家事,つまらないルーティンワークといったネガティヴな含みがあり,do the household/domestic chores, finish one's chores, a daily/everyday chore などの表現で用いる.いかにも本来語ぽい形なので古英語や中英語からあるかと思ったが,OED によると意外にも近代になってから現われた語とのことだ.もともとは方言語であり,1626年に複合語の一部として The Choare-woman, and her daughters Pocketing and Filch. という文脈で現われている.
 この初例における複合語は現在では charwoman と綴られており,日雇い雑役婦(掃除婦,家政婦)を意味する語として残っている.chorechar の母音の違いが気になって調べてみると,結局は chore, char, さらには chare などとも同根のようだ.方言や時代による母音の変異が,現代の多様な形に連なっているということになる.
 OED では,chare | char としても立項されており,これらについてはゲルマン祖語に遡り,古英語から現われる本来語だという.古英語での典型的な形は,また異なる母音をもった cyrre で,"return, turn, occasion, time" などを意味する比較的頻度の高い語だ.すでに古英語期から様々な母音の異形があったようで,ややこしい.chore の「雑用」意味は,"a turn of work" から発展したものと考えられる.
 OED には charwoman も別に立項されており,16世紀末から Charr Wemen, Choare-woman, chaire-women, Charewoman などと異形が豊かだ.

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