「#2838. 新人の登場と出アフリカ」 ([2017-02-02-1]) と「#2839. 新人の出アフリカ後のヨーロッパとアメリカへの進出」 ([2017-02-03-1]) に引き続き,人類学の話題.人類の進化を脳容量の変化という観点からたどると,興味深いことに,類人猿までの進化には相当手間取ったらしい.
ヒトに最も近いチンパンジーの脳の容量は400cc.霊長類の歴史では,ここから500ccの大台に乗るのまでに400万年という時間を要した.逆に,それ以降の進化は早い.300?200万年前のアウストラロピテクス・アフリカヌスの段階で450ccになった後,230?140万年前のホモ・ハビリスでついに550ccを記録.さらに,150?20万年前のホモ・エレクトスでは1000ccとなり,40?2万年前に生存したホモ・ネアンデルターレンシスでは1500ccにも達した.ちなみに現在まで続く新人たるホモ・サピエンスの脳容量はむしろ若干少なく,1350ccである.この進化の過程で,漸進的に顎が後退し,体毛が喪失した.
霊長類という観点から進化をたどると,およそ次のような図式となる(谷合. p. 223 を参照).
3500万年前 ─┬──────── マーモセット │ │ │ │ 2500万年前 └┬─────── ニホンザル・メガネザル │ │ │ 1800万年前 └┬────── テナガザル │ │ 1200万年前 └┬───── オランウータン │ │ 700?500万年前 ──┴┬──── ゴリラ │ └─┬── チンパンジー │ サヘラントロプス・チャデンシス │ └── ヒトその他,谷合より,脳容量の比較(231)や人類の進化系統樹(240)の図も有用. * *
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