ウクライナ (Ukraine) 西部の都市リヴィフ (Lviv) で開催された ICOME7 (The Seventh International Conference on Middle English) に参加した.歴史地区が世界遺産に登録されている,美しい街である.
国内の公用語は東スラヴ語群のウクライナ語 (Ukrainian) である.同語群に属する大言語たるロシア語の勢力に押されて,その母語率が低下してきていると言われるが,スラブ語派 (Slavic) のなかではウクライナ語人口はロシア語人口に次ぐ勢力を有している(国内で約3100万人; see Ethnologue: Ukrainian ).Ukrainian, Russian, Belarusian は互いに部分的に理解可能といわれる.(スラヴ語派の分布地図は,[2011-04-12-1]の記事で紹介した Distribution of the Slavic languages in Europe を参照.ウクライナ国内の言語地図は,Ethnologue: Languages of Ukraine を参照.)
ウクライナは一般の日本人にとって縁遠い国で,国名から連想されるものも多くないと思われる.英語にとっても状況は同じのようで,OED で語源検索をすると,ウクライナ語起源と思われる普通名詞が3語ほどヒットするにすぎなかった.
1つ目は palygorskite [ˌpæləˈgɔːskaɪt] (【鉱物】山コルク,パリゴルスカイト;石綿の一種)で,これが発見されたウラル山中の鉱山の名前にちなむ.1868年初出.
2つ目は gley [gleɪ] (【地質】グライ《湿地に見られる青みがかった灰白で目の詰った粘着性のある土》).英語本来語の clay と同根語 (cognate) で,ラテン語由来の glue とも関連する.初出は1927年.
3つ目は gopak [ˈgoʊˌpæk] (ゴパーク《高い跳躍を特徴とするウクライナ地方の民族舞踊》).hopak とも.舞踏の合間に発せられる間投詞 "gop" や "hop" に基づく造語といわれる.アクロバティックな要素を含む非常に速い2拍子の舞踏で,本来は男性の踊りだが,現在では女性も参加する.初出は1929年.
ウクライナの全般的な情報については以下を参照.
・ Ukraine -- CIA: The World Factbook
・ Ukraine -- Britannica Online Encyclopedia
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