日本語の「背広」は明治時代から用いられているが,その語源は不詳とされている.従来,様々な説が提案されてきた.
(1) 「背幅の広い服」から
(2) sack coat の訳語でゆったりした上衣
(3) 「市民服」を表わす civil clothes の civil から(従来もっとも有力とされてきた説)
(4) ロンドンにある高級紳士服の仕立屋の多い街路 Savile Row から
(5) スコットランドの羊毛・服地の産地 Cheviot から
(6) 英語の中国語訳に vest 「背心」,new waistcoat 「新背心」などと「背」が使用されることにならって
(4) の Savile Row 説もその真偽のほどは分からないが,確かにこの通りには18世紀から続く老舗が多く,そこでスーツを仕立てることが紳士のステータスとされる.一生のうち1着だけでも仕立ててみたいなあ,本物のセヴィロゥを(夢).
・ 前田 富祺 監修 『日本語源大辞典』 小学館,2005年.
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