Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」 のオープンマイク企画の一環として,heldio/helwa コアリスナーの kendama_player さんが,大学院時代の恩師である静岡大学名誉教授・服部義弘先生(専門は英語音韻論・英語史)にインタビューをしてくださいました.
服部先生といえば,日本の英語音韻論および英語史研究を長年牽引されてきた重鎮です.その服部先生が heldio にご出演いただけるとは,驚くやら嬉しいやらで,私も感激いたしました.kendama_player さんがヘルメイトとして素晴らしいご縁をつないでくれました.企画は3回にわたる対談となっており,すでに heldio にて配信済みです.リンクを以下に掲げますので,ぜひお聴きください.
・ 「#1909. 静岡大学名誉教授・服部義弘先生に聞く! --- ご経歴,そして堀田との関係は?」
・ 「#1912. 静岡大学名誉教授・服部義弘先生に聞く! --- 大母音推移は本当にあったのか?」
・ 「#1915. 静岡大学名誉教授・服部義弘先生に聞く! --- お薦めの英語史の本は?」
初回配信回では,服部先生のご経歴とともに,服部先生と私との学術的な関係について触れていただきました.お話しの中で言及された論著やシンポジウムの情報を,年代順に整理して掲載しておきます.
・ 中野 弘三・服部 義弘・小野 隆啓・西原 哲雄(監修) 『最新英語学・言語学用語辞典』 開拓社,2015年.
・ 堀田 隆一 「英語史における音・書記の相互作用 --- 中英語から近代英語にかけての事例から ---」近代英語協会第34回大会シンポジウム「英語音変化研究の課題と展望」(青山学院大学),2017年6月24日.
・ 服部 義弘・児馬 修(編) 『歴史言語学』 朝倉日英対照言語学シリーズ[発展編]3 朝倉書店,2018年.
・ 堀田 隆一 「英語における may 祈願文の発生と発達」『歴史言語学』第8号(日本歴史言語学会編),2020年.67--80頁.
・ 堀田 隆一 「英語の発音と綴字の乖離と GVS」 日本音声学会主催 第35回音声学セミナー(青山学院大学京都大学),2025年9月28日.
第2回では,英語史における音変化としては最も著名な大母音推移 (gvs) の話題を掘り下げていただきました.服部先生が対談のなかで言及・示唆された文献一覧は以下の通りです.
・ Jespersen, Otto. A Modern English Grammar on Historical Principles. Part 1. Copenhagen: Munksgaard, 1909.
・ Sapir, Edward. Language. New York: Hartcourt, 1921.
・ Smith, Jeremy J. An Historical Study of English: Function, Form and Change. London: Routledge, 1996.
・ Minkova, Donka and Robert Stockwell. "Phonology: Segmental Histories." A Companion to the History of the English Language. Ed. Haruko Momma and Michael Matto. Chichester: Wiley-Blackwell, 2008. 29--42.
・ Stenbrenden, Gjertrud Flermoen. Long-Vowel Shifts in English, c. 1150--1700: Evidence from Spelling. Cambridge: CUP, 2016.
・ 服部 義弘 「第3章 音変化」服部 義弘・児馬 修(編) 『歴史言語学』朝倉日英対照言語学シリーズ[発展編]3 朝倉書店,2018年.47--70頁.
・ 米倉 綽・中村 芳久 (編) 『英語学が語るもの』 くろしお出版,2018年.
対談のなかで服部先生は,大母音推移を構成する個々の音変化が一貫した連鎖反応として生じたわけではないとする「バラバラ説」を支持されつつも,Sapir のいう drift(駆流)の概念を引き合いに出しながら,全体としては大きな音変化の潮流をなしていたと捉える見解を示されました.一方で,現代の英語教育・英語学習の観点から見れば,GVS を一枚岩の現象として整理して捉えることにも十分に教育的利点がある,と柔軟な視点から述べられていたのが印象的でした.
第3回では,服部先生選りすぐりのお薦め英語史書を挙げていただきました.英書と和書の,専門性の高い推薦書です.
・ Mugglestone, Lynda, ed. The Oxford History of English. Oxford: OUP, 2006.
・ Hogg, R. M. and D. Denison, eds. A History of the English Language. Cambridge: CUP, 2006.
・ Fulk, R. D. A Comparative Grammar of the Early Germanic Languages. Benjamins, 2018.
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
・ 寺澤 芳雄・川崎 潔 (編) 『英語史総合年表 --- 英語史・英語学史・英米文学史・外面史 ---』 研究社,1993年.
とりわけ『英語史総合年表』の選書にはしびれました.重厚かつ多角的に英語史の歩みを鳥瞰できる名著です.本書は現在でも入手可能ですので,関心を抱いた方はぜひ書棚に揃えてみてください.
服部先生,刺激的なお話を本当にありがとうございました.ぜひ次回は,kendama_player さんも含めて3人で直接お会いして,さらに深くお話ししたいと思いました.ありがとうございました!
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