日本語で書かれた古英語・中英語の教本として伝説的に著名な本です.本ブログでもたびたび本書を参照・引用してきました.絶版となっていますので古書店や図書館でしか入手できません.初版は1955年ですが,上の写真は第2版の1986年のものです.
1955年の「はしがき」 (vi) で,市河先生は次のように書かれています.
わたくしは日本人としてはどこまでも現代英語の研究に重きを置くべきであり,古代及び中世英語の研究は労多くして効少ないものであると信ずる者であるが,しかし学問的立場においては古い時代の英語の正確な基礎的研究は必要なものであるから,出來るだけ一般の英語研究者にも参考になるように書いたつもりである.
本当に関心のある人だけ手に取って欲しい,というようなメッセージと読めます.なお,大先生の「労多くして効少ない」とのお言葉については,僭越ながら「効少ない」ことはないと,私は考えています(「労多くして」は同意)!
古い英語の入門書としていまだに読み継がれている本と思われるので,以下に目次を記しておきます (vii--viii) .
はしがき
はしがき(第2版)
古英語初歩
I. 綴りと発音
II. 語形
II. 統語法
IV. 古英詩について
TEXTS
I. From the Gospels of St. Matthew
II. Early Britain
III. The Coming of the English
IV. Alfred's War with the Danes
V. Orpheus and Eurydice
VI. Pope Gregory
VII. Apollonius of tyre
VIII. Beowulf
XI. The Riddles
X. Deor
中英語初歩
I. 中英語の方言
II. 中英語の音韻
II. 語形変化
TEXTS
I. Peterborough Chronicle
II. The Ormulum
III. Ancrene Wisse
IV. The Owl and the Nightingale
V. Havelok the Dane
VI. Richard Rolle of Hampole
VII. The Bruce
VIII. The Pearl
XI. Piers the Plowman
X. Geoffrey Chaucer
SELECT BIBLIOGRAPHY
GLOSSARY TO THE TEXTS
(1) OE
(2) OE
ちなみに,なぜこのタイミングで本書を紹介することになったのか? これについては1週間前の heldio 配信回「#1429. 古英語・中英語を学びたくなりますよね? --- 市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩』第2版(研究社,1986年)」をお聴きいただければ.
・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩』第2版 研究社,1986年.
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