南アフリカで話される英語 "South African English" をめぐる事情は,歴史が込み入っており,関与する言語・変種も多様で一筋縄では行かない.本ブログでは「#343. 南アフリカ共和国の英語使用」 ([2010-04-05-1]) をはじめとして,south_africa の記事群で取り上げてきた.
今回は,南アフリカ英語に端を発し,同変種を特徴づける語彙を紹介したい.3点の文献を参照し,南アフリカ英語らしい単語を,重複しない2つのリストで提示する.
【 Baugh and Cable (312--13) より 】
aardvark(ツチブタ),apartheid(人種隔離制度,アパルトヘイト),veld(t)(広々とした草原),commandeer(徴兵する),commando(市民騎馬軍団),trek(牛車で旅をする),biltong(塩味の切り干し肉),braaivleis(バーベキューパーティ),donga(峡谷),gogga(昆虫),koeksisters(ひねりドーナツ),kopje(小丘),mealies(トウモロコシ),ou(やつ,男),spruit(小川),stoep(ベランダ),veldskoen(革靴)
【 Crystal (English, 40) および Crystal (Encyclopedio, 377) より 】
advocate (法廷弁護士),bad friends (話し合うほどではない仲の者たち),bakkie (軽トラック),bell (電話する),bioscope (映画),boer (ボーア人),bottle store (酒屋),butchery (肉屋),camp (牧草地),dinges (何とかいうもの),dorp (村),eland (イランダ),fundi (専門家),gnu (ヌー),homeland (ホームランド;アパルトヘイト政策によって設けられた黒人住民のための自治区),impala (インパラ),indaba (会議),indri (インドリ),kloof (峡谷),kraal (村落;小屋),lekker (良い),mamba (マムバ),putu (パン状のかゆ),rand (ランド;南アフリカ共和国の通貨),robot (信号機),shebeen (もぐりの黒人酒場),spoor (わだち),springbok (スプリングボック),arvey (午後;= afternoon),tse-tse (ツェツェバエ),verkrampte (超保守主義者;極めて頑迷な),voorskot (前貸し金)
なお,南アフリカ英語の語彙については,同変種版の OED というべき A Dictionary of South African English on Historical Principles (OUP, 1996) が詳しい典拠となる.
・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
・ Crystal, David. The English Language. 2nd ed. London: Penguin, 2002.
・ Crystal, David. The Cambridge Encyclopedia of the English Language. Cambridge: CUP, 1995. 2nd ed. 2003.
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