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見立『偐紫田舎源氏』桂樹 / Mitate of 'Nise Murasaki inaka Genji' :Katsuragi
◆分類/Categories
美人 Beautiful women
◆絵師/Artist
歌川国芳 / Utagawa Kuniyoshi
シリーズ/Series
見立『偐紫田舎源氏』「色の浮世は味なもの」 / Mitate of 'Nise Murasaki inaka Genji' with the song 'The path of love is never smooth'
狂歌作者/Kyōka poet
翠柳亭花曾女 / Suiry?tei Hanasome
俗謡作者/Zokuyō poet
江戸廼花也 / Edo no Hananari
役者名/Name of actor
翻刻/Transcription
なせにこふしたうわきな人になつたわしより
Naze ni k?shita uwakina hito ni natta, Washi yori あつちからさせたおまへの上手口月はまるいか acchi kara saseta omae no j?zu-guchi, tsuki wa marui ka まるいか月かとれかどふともこちや見へにくい marui ga tsuki ka, dore ga d?tomo kocha mienikui いろの浮世はあしなものソリヤしれた事 花也戯述 iro no ukiyo wa ajina mono, sorya shireta koto, Hananari tawamure ni noburu 朧けにみれは 思ひもましらなる 手にもとりたき 月のかつらき 翠柳亭花曾女 Oboroge ni mireba omoimo mashira naru te nimo toritaki tsuki no katsuragi, Suiry?tei Hanasome 朝桜楼国芳画 Ch??r? Kuniyoshi egaku 備考/Note
*このシリーズは、最初は役者絵に分類していたが(Y2-YO-3)、岩切友里子氏のご指摘により、美人画と改め、摺物番号もB2-YO-1とする。
【俗謡】 (現代語訳) 何故こんな浮気な人になった。わたしよりあっちを選んで行動させた、お前の上手口がにくい。月は丸いか。丸いから月か。どっちがどうなっているかは見えにくい。男と女の色恋は味なもの。それはわかっているけれど。 *このシリーズの端唄は最後の「色の浮世は味なもの、ソリャ知れた事」というフレーズを共通にする。浮気な男は、『源氏物語』の登場人物「光る君」と、それに擬した『偐紫田舎源氏』の「光氏」を踏まえる。 【狂歌】 ぼんやりと空を見ると、真っ白さが胸を打つ、思わず手にとってみたくなる月の光に出会った。(朧月夜のような、真っ直ぐな心根の、そばに引き寄せたい桂樹であることよ) *「朧げ」と「月の桂」(月・月光)に、『源氏物語』の登場人物「朧月夜」と、それに擬した『偐紫田舎源氏』の「桂樹」を踏まえる。 【メモ】 *『源氏物語』の朧月夜に擬した桂樹図。 *原画は、『偐紫田舎源氏』十二編2丁裏にある(初代歌川国貞画)。 *珍しく花也の狂歌はなく、連作の俗謡が中心になっている。 *制作年の根拠は、利用されている『偐紫田舎源氏』の刊行年。一番遅いのが阿古木図の「車争い」の場面で、十二編(天保五年刊、実際の売り出しは天保四年)にある。花也の摺物は彼が没後は制作されていないので、天保五年から七年と判断した。 *このシリーズには桜蝶印を押した資料がある。(Mario Lusy Collection、Museum f?r Gestaltung Z?rich, The Art Institute of Chicago 1954.685)。 *本シリーズ他の二枚の俗謡作者は「桜蝶」。桜を象った蝶の印があることを考えると、これも彼の筆名かもしれない。 *当代における『偐紫田舎源氏』人気のほどがわかる資料。また草双紙を大名も楽しんでいた証左である。なお、スコットランド国立博物館(National Museums Scotland)では、この摺物は源氏絵の一つとして存在していた。この資料には桜蝶印がない。 (2017年8月24日記事更新) 今後の方針を考えるため、特別に訳や説明を掲出中。 所蔵/Museum,Collection
(所見)
Scotland A.1887.745.38.1 |
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江戸廼花也摺物データベース 慶應義塾大学 津田眞弓 Prof. Mayumi Tsuda , Keio University
CGI制作:あおぞらクリエイト |