hellog〜英語史ブログ

#6179. 最上級接尾辞は比較級接尾辞に "dental suffix" を付したもの[oed][adjective][adverb][comparison][superlative][suffix][germanic][rhotacism][sound_symbolism][-st][consonant][dental_suffix]

2026-03-28

 比較級接尾辞 -er と最上級接尾辞 -est の起源と発達を追っていくと,後者は前者に歯音接尾辞 (dental_suffix) を付したものであることが分かる.
 「#6170. 形容詞の比較級 -er と最上級 -est の起源を求めて」 ([2026-03-19-1]) で見たとおり,いずれもゲルマン祖語の2つのタイプ,すなわち A タイプの */-iz-, -ist-/ と B タイプの */-o:z-, -o:st-/ に遡ると考えられる.比較級接尾辞に含まれる *zrhotacism によって古英語までに r となった.
 一方,この比較級接尾辞に歯音接尾辞を付して作られたのが最上級接尾辞である.OED-est (SUFFIX) によると,A タイプについて "comparative suffix . . . + a dental suffix" とあり,B タイプについては A タイプに基づいた類推との説明がある.この最上級接尾辞の形成は,ゲルマン諸語にも共通に確認され,さらに古代ギリシア語の -ίστος にもみられる.
 調音点は歯音周辺で合わせ,摩擦音で比較級を表わし,さらに閉鎖を強めた破裂音で最上級を表わす,といった音象徴的な原理が働いているのだろうか.ただし,とりわけ初期古英語には,-osð, -esð, -usð のような摩擦音を表わす文字を有する異形も確認されるようだ.
 英語史において -st 語尾は,様々な問題を呈しており興味が尽きない.-st の各記事を参照.

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