hellog〜英語史ブログ

#6140. 唐澤一友(著)『英語のルーツ』(筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉)[review][karasawa][hel_education][indo-european][twitter][helkatsu]

2026-02-17

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 英語史研究者の唐澤一友さんによる英語史の名著『英語のルーツ』が文庫となって帰ってきました.私も「#5830. 英語史概説書等の書誌(2025年度版)」 ([2025-04-13-1]) など,英語史関連書籍を推薦する際には,いつも定番の1冊として挙げている書籍です.
 本書は,もともと2011年に春風社より出版されており,後に増刷もされてきましたが,ある段階から在庫が切れて書店で入手することができなくなっていました.図書館で借りる,あるいは古書店で購入する,などの方法に頼らざるを得ず,推薦したくてもしにくい状況にありましたが,今回,筑摩書房の〈ちくま学芸文庫〉より復刊されるという朗報を受け,英語史界にいる者として嬉しく思います.たいへん有意義な復刊で,本ブログを定期的にお読みいただいている皆さんにお勧めしたい1冊です.
 本書は英語史の本なのですが,類書よりも「広い」意味での英語史の本と受け取ってよいかと思います.序章を除いて5章立ての本なのですが,最初の3章までは英語前史というべき「印欧祖語」や「印欧語族」の話題で占められているのです.英語史の本としては希有な構成といってよいでしょう.その点では玄人好みする本ともいえ,他の入門書を数冊読んでからトライするのがよいかとも思われますが,現代英語を意識した筆で書かれているために,おもいのほか読みやすいです.
 章立てを示すと「序章 英語発達史概観」「第1章 インド・ヨーロッパ祖語民族の言語・文化・神話」「第2章 英語の語源と印欧語比較言語学」「第3章 印欧諸語の中の英語」「第4章 古英語から現代英語まで」「第5章 文字と綴りのルーツ」となります.「狭い」意味での英語史は,第4章に凝縮されていることになります.今回刊行された文庫版には,オリジナルにはない節も書き加えられていますので,オリジナル版の既読者にも再読をお薦めします.
 著者の唐澤さんは,昨年6月に刊行された『英語語源ハンドブック』(研究社)制作チームの仲間ということもあり,共著者の小塚良孝さんと私との3人で,文庫化のお祝いを兼ねて,先日オンラインで「居酒屋KKH」を開催し,そこで heldio 対談を収録しました.2月13日に「#1720. 『英語のルーツ』文庫化記念 --- 唐澤一友さんとの対談 from 居酒屋KKH」として配信しましたので,ぜひ著者の生の声をお聴きいただければ.



 著者の唐澤さんご自身も,最近 X アカウント @KazuKarasawa で本書に関連する話題を投稿しているので,ぜひフォローしてみてください.

 ・ 唐澤 一友 『英語のルーツ』 筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉,2026年.
 ・ 唐澤 一友 『英語のルーツ』 春風社,2011年.
 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

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