一昨日に公開された YouTube 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」の最新回は「#107. 英語に前置詞はなぜこんなに多いのか?」です.現代英語には前置詞が194種類もあるのですが,古英語では30種類ほどでした.英語の歴史に何が起こり,前置詞がここまで増えてしまったのでしょうか.12分ほどの動画です.どうぞご視聴ください.
今回の動画と関連して,以下の関連する hellog 記事や heldio 放送もご参照ください.
・ hellog 「#30. 古英語の前置詞と格」 ([2009-05-28-1])
・ hellog 「#947. 現代英語の前置詞一覧」 ([2011-11-30-1])
・ hellog 「#1201. 後期中英語から初期近代英語にかけての前置詞の爆発」 ([2012-08-10-1])
・ hellog 「#4190. 借用要素を含む前置詞は少なくない」 ([2020-10-16-1])
・ heldio 「#133. 前置詞ならぬ後置詞の存在」
・ heldio 「#260. 英語史を通じて前置詞はどんどん増えてきた」
・ heldio 「#343. 前置詞とは何?なぜこんなにいろいろあるの?」
・ heldio 「#374. ラテン語から借用された前置詞 per, plus, via」
そもそも前置詞 (preposition) とは何なのでしょうか.現代英語の前置詞の伝統的な定義・解説を Huddleston and Pullum (598) より引用しましょう.
The general definition of a preposition in traditional grammar is that it is a word that governs, and normally precedes, a noun or pronoun and which expresses the latter's relation to another word. 'Govern' here indicates that the preposition determines the case of the noun or pronoun (in some languages, certain prepositions govern an accusative, others a dative, and so on). In English, those pronouns that have different (non-genitive) case forms almost invariably appear in the accusative after prepositions, so the issue of case government is of less importance, and many definitions omit it.
ただし,この伝統的な定義よりも広く前置詞をとらえる立場もあり,前置詞とは何かという問いは思いのほか容易ではありません.194種類あるとはいえ,あくまで小さな語類ではありますが,なかなか奥の深い品詞です.
・ Huddleston, Rodney and Geoffrey K. Pullum, eds. The Cambridge Grammar of the English Language. Cambridge: CUP, 2002.
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