hellog〜英語史ブログ

#3663. 細江逸記『英文法汎論』 --- 歴史的な観点からの現代英文法書[review][link]

2019-05-08

 英語史の知見を詰め込んだ我が国における現代英文法書といえば,ほぼ唯一のものであり,古典的名著というべき細江逸記著の『英文法汎論』を挙げないわけにはいかない.国立国会図書館デジタルコレクションより,細江 逸記 『英文法汎論 第1巻』8版 泰文堂,1949年.がオンラインで閲覧できるようになっている.
 英語史に精通した学者ならではの現代英文法の記述が特徴で,主として近代英語期からの豊富な例文とともに,注などで与えられる正確かつ独創的な歴史的解説が最大の魅力である.とりわけ統語論に強い.本ブログでも,すでに幾多の記事で同文法書(ただし手持ちの3版)を参照・引用してきた.
 以下の記事を眺めるだけでも,細江英文法の深さを感じることができるはずです.英語史の研究者にとって必読であるばかりか,現代英文法の歴史的背景に関心のある方は是非ご一読を.

 ・ 「#740. 熟語における形容詞の名詞用法 --- go from bad to worse」 ([2011-05-07-1])
 ・ 「#752. 他動詞と自動詞の特殊な過去分詞形容詞」 ([2011-05-19-1])
 ・ 「#806. what with A and what with B」 ([2011-07-12-1])
 ・ 「#980. ethical dative」 ([2012-01-02-1])
 ・ 「#981. 副詞と形容詞の近似」 ([2012-01-03-1])
 ・ 「#984. flat adverb はラテン系の形容詞が道を開いたか?」 ([2012-01-06-1])
 ・ 「#988. Don't drink more pints of beer than you can help. (2)」 ([2012-01-10-1])
 ・ 「#1028. なぜ国名が女性とみなされてきたのか」 ([2012-02-19-1])
 ・ 「#1035. 列挙された人称代名詞の順序」 ([2012-02-26-1])
 ・ 「#1037. 前置詞 save」 ([2012-02-28-1])
 ・ 「#1054. singular they」 ([2012-03-16-1])
 ・ 「#1172. 初期近代英語期のラテン系単純副詞」 ([2012-07-12-1])
 ・ 「#1347. a lawyer turned teacher」 ([2013-01-03-1])
 ・ 「#1350. 受動態の動作主に用いられる of」 ([2013-01-06-1])
 ・ 「#1392. 与格の再帰代名詞」 ([2013-02-17-1])
 ・ 「#1541. Mind you の語順」 ([2013-07-16-1])
 ・ 「#1570. all over the worldall the world over」 ([2013-08-14-1])
 ・ 「#1682. Young as he is, he is rich. の構文」 ([2013-12-04-1])
 ・ 「#1691. than の代用としての as」 ([2013-12-13-1])
 ・ 「#1762. as it were」 ([2014-02-22-1])
 ・ 「#2128. "than" としての noror」 ([2015-02-23-1])
 ・ 「#2130. "I wonder," said John, "whether I can borrow your bicycle."」 ([2015-02-25-1])
 ・ 「#2315. 前出の接続詞が繰り返される際に代用される that」 ([2015-08-29-1])
 ・ 「#2442. 強調構文の発達 --- 統語的現象から語用的機能へ」 ([2016-01-03-1])
 ・ 「#2475. 命令にはなぜ動詞の原形が用いられるのか」 ([2016-02-05-1])
 ・ 「#2647. びっくり should」 ([2016-07-26-1])

 ・ 細江 逸記 『英文法汎論 第1巻』8版 泰文堂,1949年.
 ・ 細江 逸記 『英文法汎論』3版 泰文堂,1926年.

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