#3395. 20世紀初頭に設立された英語アカデミーもどき[academy][purism]


 イギリスでは,1712年に Jonathan Swift (1667--1745) の提案した Academy 創設の試みが頓挫したのち,公的に言語を統制しようとする動きは目立たなくなった.しかし,18,19,20世紀,そして現在に至るまで,統制とは言わずとも何らかの意味で言語を管理しようとする欲求が完全に消えたわけではない.言語について保守的・純粋主義的な人々は常に一定数存在したし,小規模あるいは私的なレベルで統制のために声を上げることはあった.その1つの例として,1913年に設立された Society for Pure English (S.P.E) を挙げよう.
 S.P.E は1913年に設立されたが,実際に活動を始めたのは第1次世界大戦の休戦後のことである.当初の委員は,錚々たるメンバーだった.リーダー役を演じた桂冠詩人 Robert Bridges,著名な文献学者 Henry Bradley,オックスフォード大学英文学教授 Sir Walter Raleigh,文学者 Logan Pearsall Smith である.彼らの目的は,人々の言語(使用)に介入することではなく,あくまで "to agree upon a modest and practical scheme for informing popular taste on sound principles, for guiding educational authorities, and for introducing into practice certain slight modifications and advantageous changes" (qtd. in Baugh and Cable, p. 328) ということだった.人々の言語使用をむしろ尊重しているということを強調し,その上に立って若干の整理を行ないたい,ということだった.
 しかし,それでもそこにアカデミーぽい匂い,言語統制の風味をかぎ取ったものもいた.例えば,Robert Graves という著者が,1926年に Impenetrability, or The Proper Habit of English において,次のように S.P.E を批判している.彼にとっては,Society for Pure English という名前からして胡散臭く思われたろう.

The 'Society for Pure English,' recently formed by the Poet Laureate, is getting a great deal of support at this moment, and is the literary equivalent of political Fascism. But at no period have the cultured classes been able to force the habit of tidiness on the nation as a whole. . . . The imaginative genius of the uneducated and half-educated masses will not be denied expression. (qtd. in Baugh and Cable, p. 328)


 ・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.

Referrer (Inside): [2019-03-03-1]

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