「祈祷書」(英国教会の礼拝の公認式文)として知られる The Book of Common Prayer の初版は,1549年に編纂された.宗教改革者にしてカンタベリー大主教の Thomas Crammer (1489--1556) を中心とする当時の主教たちが編纂し出版したものであり,その目的は,書き言葉においても話し言葉においても正式とみなされる英語の祈祷文を定めることだった.正式名称は The Booke of the Common Prayer and administracion of the Sacramentes, and other Rites and Ceremonies after the Use of the Churche of England である.
この祈祷書は,Queen Mary と Oliver Cromwell による弾圧の時代を除いて,現在まで連綿と用いられ続けている.現在一般に用いられているのは初版から約1世紀後,1661--62年に改訂されたものであるが,初版の大部分をよくとどめているという点で,完全に連続性がある.この祈祷書は5世紀近くもの繰り返し唱えられてきたために,人口に膾炙した文言も少なくない.特によくに知られているのは結婚式での文句だが,その他の常套句も多い.Crystal (36) より,以下にいくつか挙げてみよう.
[ 結婚式関係 ]
・ all my worldly goods
・ as long as ye both shall live
・ for better or worse
・ for richer for poorer
・ in sickness and in health
・ let no man put asunder
・ now speak, or else hereafter forever hold his peace
・ thereto I plight thee my troth
・ till death us do part
・ to have and to hold
・ to love and to cherish
・ wedded wife/husband
・ with this ring I thee wed
[ その他 ]
・ all perils and dangers of this night
・ ashes to ashes
・ battle, murder and sudden death
・ bounden duty
・ dust to dust
・ earth to earth
・ give peace in our time
・ good lord, deliver us
・ peace be to this house
・ read, mark, learn and inwardly digest
・ the sins of the fathers
・ the world, the flesh and the devil
祈祷書に関連して,「#745. 結婚の誓いと wedlock」 ([2011-05-12-1]),「#1803. Lord's Prayer」 ([2014-04-04-1]) も参照されたい.また,聖書からの常套句としては「#1439. 聖書に由来する表現集」 ([2013-04-05-1]) を参照.
・ Crystal, David. Evolving English: One Language, Many Voices. London: The British Library, 2010.
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