hellog〜英語史ブログ

#1629. 和製漢語[japanese][kanji][waseieigo][lexicology]

2013-10-12

 「#1624. 和製英語の一覧」 ([2013-10-07-1]) で和製英語の一覧を掲げたが,今回は和製漢語の例を列挙したい.英単語の借用に慣れた日本語が大正期に和製英語を作り出し始めたように,それにもまして長らく日本語になじんできた漢語がモデルとなって,数々の和製漢語が生み出されてきたことは,まったく自然なことである.和製英語の場合と同様に,ある漢語が和製であるか否かを定めるには日本語および中国語の双方における文献学的な考証が必要となり,たやすい問題ではないが,現代中国の専門家によれば,次の漢語は和製漢語である可能性が高いという(以下の例はすべて『日本語百科大事典』 pp. 1029--30 より).

備品,参看,参照,成因,寵児,単純,等外,敵視,読本,番号,方針,風位,服務,復式,副食,公立,公判,公認,公営,国立,集中,集結,記号,尖兵,堅持,簡単,金額,巨匠,巨星,克服,労作,落選,明確,内勤,農作物,権限,権益,人選,肉弾,実績,実権,私立,訴権,台車,特長,外勤,校訓,興信所,学会,学歴,訓話,訓令,銀翼,印鑑,原動力,原意,原作,陣容,支部,重点,手動,組成,座談


 日本の文物を表す漢語も,和製と考えてよいだろう.例としては,和服,和文,人力車,浄瑠璃,能楽,三味線,茶道,弓道,柔道などがある.
 また,以下の漢語も和製漢語の可能性をもつが,近代日本と中国の間での移入・移出の関係は複雑であり,一応のリストとして理解しておきたい.これらの多くは,近代期に,英語などを取り入れる際に漢訳して取り入れたことに由来する.

暗示,白金,半径,飽和,保険,悲劇,背景,本質,比重,必要,標語,表決,波長,不動産,財閥,挿話,成分,乗客,抽象,出版,触媒,大気,代議士,単元,蛋白質,道具,登記,低調,抵抗,地質,電波,電車,電話,電流,電子,動産,独占,隊商,対象,対照,法人,反動,反感,反射,反応,範疇,方程式,方式,雰囲気,否定,附着,複製,改編,改訂,概括,概略,概念,感性,幹部,幹線,高潮,高炉,歌劇,工業,公報,公称,公民,公僕,公訴,共産主義,共鳴,関係,観測,観念,光年,光線,広告,広義,帰納,国際,国庫,国税,寒帯,寒流,航空母艦,号外,化膿,化石,化学,化粧品,画廊,幻灯,幻想曲,回収,会話,会社,会談,活躍,火成岩,積極,基調,基準,集団,計画,技師,仮定,尖端,間接,建築,鑑定,講壇,交際,交響楽,膠着語,脚本,教科書,教養,酵素,接吻,結核,解放,解剖,介入,金剛石,金婚式,金牌,金融,緊張,進度,進化,進化論,進展,経験,景気,警察,警官,浄化,静脈,競技,就任,巨頭,決算,絶対,看護婦,看守,抗議,科学,可決,客観,客体,肯定,空間,会計,拡散,類型,冷蔵,冷蔵庫,理論,理念,理想,理智,力学,立憲,例会,了解,領海,領空,領主,領土,論理学,漫画,盲従,媒質,美感,密度,免許,民法,敏感,命題,黙示,母体,母校,目標,目的,内容,内在,能動,能率,擬人法,年度,暖流,派遣,判決,陪審,配給,批評,平面,評価,企業,気分,気体,気質,汽船,汽笛,契機,前線,強制,軽工業,清教徒,清算,情報,権威,熱帯,人格,人権,任命,溶体,入場券,入超,商法,商業,社交,審判,昇華,生理学,生態学,失恋,施工,施行,時間,実感,実業,使徒,士官,世界観,市場,市長,事態,手工業,受難,水素,思潮,死角,素材,素描,速度,速記,随員,索引,談判,探険,特権,体育,鉄血,統計,投影,投資,図案,外在,温床,温度,文庫,文学,無産者,物質,喜劇,系列,係数,細胞,狭義,繊維,現実,現象,現役,憲兵,相対,想像,象徴,消防,消費,消極,小夜曲,効果,協定,協会,心理学,信号,信託,性能,序幕,序曲,宣戦,旋盤,学位,血栓,血吸虫,巡洋艦,圧延,亜鉛,演出,演奏,燕尾服,陽極,要素,業務,液体,議会,議員,議院,意訳,因子,陰極,銀行,銀婚式,栄養,影像,優生学,油槽車,遊離,予後,元素,園芸,原理,原則,原子,原罪,遠足,運動,運動場,雑誌,債権,債務,展覧会,戦線,哲学,証券,政策,政党,支線,直観,直接,直径,直流,止揚,指標,指導,指数,制裁,制限,制約,質量,終点,仲裁,重工業,主筆,主観,資料,紫外線,宗教,総合,総動員,総理,作品


 和製英語にせよ和製漢語にせよ,相手の言語からの直接の語彙借用に十分なじんでくると,今度はそれをモデルとして自家製の語彙を生み出そうとしてきた点が似ている.相手の言語に呑まれていると考えれば語彙借用反対論となるし,相手の言語を手なずけていると考えれば賛成論となる.私は,和製○語の存在は日本語が借用元言語の手なずけに成功し,高次に進んだ借用段階にあることを示すものとして解釈している.

 ・ 『日本語百科大事典』 金田一 春彦ほか 編,大修館,1988年.

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