昨日の記事「#1214. 属格名詞の位置の固定化の歴史」 ([2012-08-23-1]) で,中英語における被修飾名詞に対する属格名詞の位置の固定可について見たが,前置であれ後置であれ,属格名詞そのものが同時期に衰退していったという事実を忘れてはならない.属格名詞を用いた A's B の代わりに B of A というof による迂言形が発達し,前者を脅かした.この交替劇は,大局から見れば,総合から分析へ (synthesis_to_analysis) という英語史の潮流に乗った言語変化である.
Fries (206) に与えられている表は,古英語から中英語にかけて3種類の属格(前置属格,of 迂言形,後置属格)がそれぞれどの程度の割合で用いられれたかを示す統計値である.これをグラフ化してみた.
Post-positive genitive | 'Periphrastic' genitive | Pre-positive genitive | |
---|---|---|---|
c. 900 | 47.5% | 0.5% | 52.0% |
c. 1000 | 30.5% | 1.0% | 68.5% |
c. 1100 | 22.2% | 1.2% | 76.6% |
c. 1200 | 11.8% | 6.3% | 81.9% |
c. 1250 | 0.6% | 31.4% | 68.9% |
c. 1300 | 0.0% | 84.5% | 15.6% |
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