hellog〜英語史ブログ

#1023. 日本語の拍の種類と数[syllable][japanese][mora]

2012-02-14

 [2012-02-12-1]の記事「#1021. 英語と日本語の音素の種類と数」では,音素という単位で両言語の一覧を掲げたが,音節という単位ではどうだろうか.今回は,日本語の拍の一覧表を示したい.以下,出典は金田一 (90) .

aiueojajujo(je)wa(wi)(we)wo
hahihuhehohjahjuhjo(hje)(hwa)(hwi)(hwe)(hwo)
gagigugegogjagjugjo (gwa)   
kakikukekokjakjukjo (kwa)   
ŋaŋiŋuŋeŋoŋjaŋjuŋjo     
da(di)(du)dedo (dju)      
ta(ti)(tu)teto (tju)      
naninunenonjanjunjo     
babibubebobjabjubjo     
papipupepopjapjupjo     
mamimumemomjamjumjo     
zazizuzezozjazjuzjo(zje)    
sasisusesosjasjusjo(sje)    
(ca)cicu(ce)(co)cjacjucjo(cje)    
rarirurerorjarjurjo     
 NTR         


 括弧を付したものは,主として外来語や感動詞に現われるもの.注意すべきものとして,(wha) = ファ,ci = チ,cu = ツ,(ca) = ツァ,cja = チャ.

 日本語の音声の単位として,音素より大きな塊を示す用語として,音節 (syllable) ,拍,モーラ (mora) などがあるが,この用語の使い方は研究者によってまちまちである.ここでは,拍と呼んでおくことにする.これによると,日本語は,近年の外来語に現われる音節を別とすると,112の拍をもつことになる.鼻濁音を音素としてもたない話者は,ここから8拍を差し引く必要がある.o と wo については,「お」と「を」は共通語ではともに /o/ として区別されないが,「青うございます」と「淡うございます」などでは対立が生じるので,別の拍として認定する.
 金田一 (104) によれば,ハワイ語は,子音が8個,母音5個で,理論上45音節が区別される.中国語は北京標準語で411音節.そして,英語だが,可能な音節数が著しく多いことが知られている ([2012-02-02-1]の記事「#1011. なぜ言語には「閉鎖子音+母音」の組み合わせが多いか?」を参照).日本語学者で英語学者の楳垣実によれば,英語の音節は3万個以下ということはなく,トルンカという学者によれば,86,165個があり得るというから驚きだ.このトルンカの言及には,いずれ当たってみたい.

 ・ 金田一 春彦 『日本語 新版(上)』 岩波書店,1988年.

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