hellog〜英語史ブログ

#567. set --- the most polysemic word in English[oed][polysemy]

2010-11-15

 書籍版 OED を読んでいると字が細かいので目がちかちかしてくるが,特に重要な多義語では記述が数ページにわたるので,それこそ目が悪くなりそうだ.割かれているページ数が多義性の目安だとすると,英語で動詞 set ほどの多義語は存在しない.OEDDictionary facts によると:

Longest entry in Dictionary: the verb 'set' with over 430 senses consisting of approximately 60,000 words or 326,000 characters


 6万語の記述というと短い小説ほどの長さである.記述の長さで最高ということは,およそ語義の多さでも最高と考えて差し支えないだろう.みかけは "a wholly unassuming monosyllable, the verbal equivalent of the single-celled organism" ( Bryson, p. 63 ) だが,実は中身の濃い polysemic word だということになる.CD-ROM版では set のエントリーの全体が表示されるまでに私のPCで32秒かかった.
 他の上級学習者用英英辞書(いずれも最新版)で動詞 set の登録語義数を調べてみた.

dictionarynumber of senses
OALD816
LDOCE525
Cobuild14
CALD18
Macmillan15
Merriam-Webster's17


 もとより意味という連続体を語義に分解するには恣意的な判断が働くものであり,辞書によって取り上げる語義の範囲やその切り方がある程度異なるのが普通だが,それにしても polysemic だなと実感.
 OED のエントリーをここに再掲するわけにはいかないので,代わりに LDOCE のエントリーを参照されたい.これをじっくり読むと set の使い方はもちろんのこと,一般の英語の語法というものに詳しくなれるのではないかと思えるほどに多義的,多機能だ.

 ・ Bryson, Bill. Mother Tongue: The Story of the English Language. London: Penguin, 1990.

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