hellog〜英語史ブログ

#129. Albion --- Great Britain の雅名[history][etymology]

2009-09-03

 先日,山口県岩国に出かけた.岩国市には昔から世界でも珍しいシロヘビの種が生息しているという.1738年の『岩邑年代記』という文献にシロヘビの存在が記されており,古くからの野生種らしい.「岩国のシロヘビ」として天然記念物に指定されており,地元では幸福の神として崇められているということで,観覧所にて面会してみた.

White Snake of Iwakuni

 このシロヘビの正体は,日本固有のアオダイショウ ( Elaphe climacophora ) の白色変種で,いわゆるアルビノ ( albino ) である.albino 「白子,白色変種」は,ラテン語 albus 「白い」からスペイン語・ポルトガル語の albino 「白みがかった」を経て18世紀に英語に入った借用語である.ちなみに album はラテン語 albus の中性形で,「白いもの」が原義である.こちらは17世紀の借用語.
 さて,本題は同じく albus から派生した Albion という語である.ブリテン島の南部海岸は白亜質の絶壁が続く.そこから Albion は古代においてブリテン島を指す名称として使われた(Google Imageよりこちらの画像を参照).紀元前4世紀あるいはそれ以前に古代ギリシャの地理学者が用いたとされ,ブリテン島の呼び名として知られているなかでもっとも古い語である.
 英語での初例は古英語の Bede である.現代英語にもブリテン島の雅名として残っている.

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