hellog〜英語史ブログ

#6182. 比較級ベースの最上級というべき語 --- furthermost, uttermost[comparison][double_comparative][word_formation][suffix]

2026-03-31

 昨日の記事「#6181. 2重比較級というべき語 --- furthermore, nethermore」 ([2026-03-30-1]) と関連して,さらにおもしろい語形成を紹介したい.furthermore が比較級の基体の上に比較級接尾辞を載せたものだとすれば,今回取り上げる furthermost などは比較級の基体の上に最上級接尾辞を載せたものである.「比較級最上級」とでも名付けたくなるような,重厚な3音節語となっている.
 OED で探した限り,歴史的に -ermost の単語を16例を見つけることができた.対応する -ermore があるものは,それと一緒に示そう.OED での各単語の初出年も付してある.

-mostearliest-moreearliest
hindermost1398hindermore1382
uttermost1398uttermore1382
furthermost?a1400furthermorec1175
innermost1413innermorea1387
uppermostc1450uppermorea1398
lowermost1547lowermore1662
lattermost1566lattermore1534
outermost1587outermorea1425
highermost1593  
windermost1597  
farthermost1619farthermorec1380
downermost?c1690downermore1435
bettermost1737  
biggermost1803  
endermost1803  
beatermost1827  


 同一基体に対して比較級・最上級の接尾辞を付したペアの単語に注目すると,全体として比較級のほうが初出年が早く,その直後,あるいは間隔をあけてから最上級が出現しているのが分かる(逆の順序を示しているのは,lowermost (1547) と lowermore (1662) のみである).この分布から,一般的にいって,比較級の語の接尾辞 -more を後から -most で置換することによって最上級の語を作ったという論理的順序を想定することができるだろう.
 もちろん対応する比較級の語がなく,ペアをなしていない最上級の語もあるわけだが,これについては早くに確立していた最初期の事例,すなわち14世紀末に形成された hindermost, uttermost, furthermost などが直接の語形成モデルの基盤になったと考えることができるのではないか.
 時期的には初期近代英語期を中心とする時期にこの語形成が集まっており,意味的には空間や時間におけるポジションを示すものに偏っている.とりわけ妙なものとしては windermostendermost など,windend という名詞が大元の基体となっているものがあることだ.また,bettermost/beatermost, biggermost などポジションとは関係のない一般の形容詞がベースとなっているものもあることにも注意したい.
 比較級や最上級のマーカーを余剰的に単語に載せたいという気持ちが生み出した,奇々怪々の単語たちである.

Referrer (Inside): [2026-04-01-1]

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